このプロジェクトでは実践を通じて歴史を読み替え,ありえたかもしれない「今」をつくりだします.淘汰されてしまった過去のメディアを再考察することで新しい現在のメディアへの理解を深める「メディア考古学」を足がかりに,視聴覚メディアを中心とした様々なメディアの形づくられてきた過程を調べ,その機能や役割が歴史的に固定される前の可能性について理解を深めます.
そして,コンピュータやネットワークを取り入れた個を主体としたものづくりの潮流である「パーソナル・ファブリケーション」以降の技術・社会環境において,この理解を芸術表現に活用する方法を,多様な作品制作の下地となる技法として提案します.
例えば,聴覚メディアの古典的な存在ともいえるレコード,その機能や役割を,画面上で描いた波形を溝として盤面に直接刻み込むという〈技法〉を用いて制作したいくつかの〈作品〉,を通じて再考するように,マス・メディアにおいては顕在化しなかったメディアの可能性を「再発明」します.
今回の展示では,それらの技法を具体的な作品を通じて示すとともに,関連の資料を紹介します.会期中に数回の展示替えを予定している他,プロジェクト・メンバーを中心に時折のゲストを交えた研究会の内容を随時公開していきます.
情報科学芸術大学院大学[IAMAS] 車輪の再発明プロジェクト 研究会ページ