この作品は2015年9月11日から13日にかけて催された、サラマンカホール電子音響音楽祭の「響きあうバロックと現代」コンサートにて上演された。サラマンカホールの辻オルガンの鍵盤やストップは、電子制御ではないメカニカル・アクションであるため、操作をするためには人の手が必要となる。この作品は2人のアシスタントのみによって演奏される。
作品は、電子音楽で用いられる「加算合成」という音響処理をパイプオルガンと人力で行ない、そのシーケンスを計算によって導き出し構成されている。加算合成とは、複数のサイン波を重ねて音色を合成する音響合成技術であり、シンセサイザー等に応用されている。パイプオルガンもストップをオンにすることで基音や倍音、異なる音色を付加することができる。これを加算合成として捉え、ストップを操作することによって人力による「音響合成」を行なう。