本作品は,他の出展作品「月の光に」と同一の技法,コンピュータ上で描いた波形を直接盤面に彫り込みそこから音響を発生させる,を用いて制作された.ここでは,描いた波形をひと連なりの溝として素材の表面に刻むのではなく,アクリル板に直接刻まれた溝をレーザー光を用いて円弧状に切り出している. 各々の聴取者・演奏者が物理的に音を組み替えることで様々なリズムを生み出すこの作品は,チェコの作家ミラン・ニザックによる,破壊したレコードを再構成した作品「Broken Music」に影響を受けつつも(両者の繋ぎ目からは驚くほど似通った音響が生み出される),楽器としてのターンテーブルの別種の可能性を示唆する.
《断片化された音楽》 [2014] “Fragmented Music”
城一裕
《断片化された音楽》
撮影:木奥恵三
撮影:木奥恵三