本作品はテープレコーダーを分解，再構成したものである．メディアの利用を通じて芸術領域が拡張されている現在に，あえて過去のメディアともいえるこのテープレコーダーを対象として作品を制作した．テープレコーダーを分解，再構成するプロセスを通じてテープレコーダーの価値を再び探り出し，過去のメディアを用いたあり得たかもしれない表現手法を自らの手で提示することを目標とした．

本作品は，磁気テープに信号を記録させ音を再生，録音する装置であるテープレコーダを分解し，信号が記録されたプレート，信号を読み込む磁気ヘッド，音を再生するスピーカー，音を増幅させるアンプによって再構成したものである．プレートには，一般的なカセットテープの録音・再生テープ速度である4.76cm/sおよび，その2倍の速度9.52cm/sにて，5秒の音が記録されている．観客は提供されている磁気ヘッドを動かし，擦ることにより人それぞれが考えている1秒1秒を体験する．