藤幡正樹 FUJIHATA Masaki
藤幡正樹
プロフィール
1956年東京生まれ.80年代初頭からコンピュータ・グラフィックスとアニメーションの制作,その後コンピュータを使った彫刻の制作を経て,90年代からはインタラクティヴな作品を次々に発表.
1996年,ネットワークをテーマにした作品《グローバル・インテリア・プロジェクト#2》がアルス・エレクトロニカ(リンツ,オーストリア)でゴールデン・ニカ賞を受賞.1997年,インタラクティヴな本をテーマにした作品《ビヨンド・ページズ》が欧米を巡回し,ZKMのパーマネント・コレクションになる.1998年はZKMに客員芸術家として滞在し,ネットワーク作品《ナズル・アファー》,おもちゃの電車とシミュレーション・プラットフォームを用いた《生け捕られた速度》を制作,ZKMにて展示.また,音楽家の古川聖との共作でCD-ROM作品『Small Fish』(ZKM/Cantz)を制作出版.同作品は2011年にiOSアプリとしてZKMから再発売されている.
2000年は,大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレで中学生とGPSを使ったワークショップを展開.2001年に同様のシステムを発展させて《Field-Work@Hayama》を制作し,横浜トリエンナーレ,アルス・エレクトロニカ等で展示.Field-Workは動画映像をGPSの位置情報と共に3D空間で編集するもので,その後多数の展開を生む.2002年から2003年にかけて,ドイツとフランスの国境沿いで行なったインタヴューを編集した《Field-Work@Alsace》,イギリス・エセックス地方で地元の人たちとの記録をまとめた《Mersea Circles》,GPSで宍道湖に絵を描くという趣旨で行なったイヴェントをまとめた《Field-Works@Lake_Shinji》.2005年にはクンストハウス・グラーツ(オーストリア)でのプロジェクト《Friends’ Tree》,ジュネーヴの美術学校と現代映像センターとのプロジェクト《Landing Home in Geneva》が実現し展示された.その後も2009年に北アイルランドで実現した《Simultaneous Echoes》は,地元の音楽家との共作でデジタルによる風景画と呼べるものであり,2012年にフランス,ナントで実現した《Voices of Aliveness》は,自転車に乗りながら参加者の名前をモールス・コードに従って叫んで貰い,それを3D空間にまとめあげたもので,2013年のアルス・エレクトロニカで3度目の受賞をする.
ほかにも,2002年に山口市情報芸術センターのプレ・イヴェントで地元のケーブルテレビを巻き込んだ《オフセンス》,2003年から06年まで4年連続してアートスペースキムラで展示された《モレルのパノラマ》,《ルスカの部屋》,《無分別な鏡》,《Portray the Silhouette》は,新しいメディアによる視覚の再表示をテーマとして作られた作品群である.
著書に『Geometric Love』(PARCO出版,1987),『禁断の果実』(リブロポート,1991),『巻き戻された未来』(ジャストシステム,1995),『カラー・アズ・ア・コンセプト』(美術出版社,1997),『コンピュータ・グラフィックスの軌跡』(ジャストシステム,1998),『アートとコンピュータ』(慶應大学出版会,1999),『先端芸術宣言!』(岩波書店,2003),『不完全な現実』(NTT出版,2009),70年代から現在までの作品をヴィデオや3DモデルとしてAR技術を使って見ることができるようにした『Anarchive º6 Masaki Fujihata』(edition anarchive,2016)がある.
[2017]