藤幡正樹の1970年代のアニメーション作品,CG作品,コンピュータによる彫刻,さらに90年代以降のインタラクティヴ作品,GPSを用いた大型プロジェクトまで,ほぼすべての作品が網羅された作品集が,「Anarchive」シリーズの最新巻としてフランスで刊行されます.
「Anarchive」は,アンヌ=マリー・デュゲによる企画出版シリーズです.これまでにアントニオ・ムンターダス,マイケル・スノウ,ティエリー・クンツェル,ジャン・オットー,中谷芙二子の作品が,それぞれマルチメディア・アーカイヴとして刊行されています.
シリーズ第6弾となる藤幡正樹の巻には,多くの研究者の論考とともに,作品分析のための多くの資料が収められています.さらに,AR技術を用いて観ることができる記録動画や3Dモデルで再現されたインスタレーション作品は,メディア・アート作品のアーカイヴのあり方に一石を投じるものといえるでしょう.
アンスティチュ・フランセ東京で開催される出版記念イヴェント(3月2日開催)に続いて開催する本シンポジウムでは,「Anarchive」ディレクターのデュゲ氏を交えた作品集の紹介に加えて,ICC開館前に開催されたNTTインターコミュニケーション '92「脱着するリアリティ」(1992)の共作者である入江経一氏と,石田英敬氏をお迎えし,1992年と現在の思考方法,また情報環境の変化について,討議を行ないます.
第1部:「Anarchive出版について」 アンヌ=マリー・デュゲ+藤幡正樹
第2部:「1992―2016」 入江経一+藤幡正樹+石田英敬
出演:アンヌ=マリー・デュゲ(美学専攻,芸術批評/
パリ第一パンテオン=ソル ボンヌ大学名誉教授)
入江経一(建築家,デザイナー)
石田英敬(記号論,情報記号論,メディア分析/東京大学教授)
藤幡正樹(メディア・アーティスト)
司会:畠中実(ICC)