ICCのプロジェクトとして1992年より藤幡正樹が,富士山を素材に取り組んできた,知覚と体験そしてイマジネーションをテーマとする,約2年間にわたる調査研究の成果を展示.展覧会は,「スケールとスピード」「身体と負荷」「眼と速度」の三つのパートによって構成され,展示,ワークショップ,体験,と多様な形態により展開された.「スケールとスピード」(展示)では,GPS(地球測位システム)により富士山登頂時の時間/緯度経度/高度/速度といったデータを採取し,観客はそのデータによって描かれた富士山をジョイスティックによってさまざまな角度から鑑賞する.「身体と負荷」(ワークショップ)では,観客が実際にGPSを使い,会場周辺を歩行しているデータをリアルタイムに会場へ送信し,会場に置かれたモニター上の富士山の図形が変化する.「眼と速度」(体験)では,観客が加速度センサー,ビデオカメラ,ヘッド・マウンテッド・ディスプ レイ(HMD)のセットを頭部に装着し頭部を動かすことによりHMDのディスプレイ上で加速度を体験する.
『ICCコンセプト・ブック』(NTT出版,1997)より引用