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          | コンピュータの刺激 | 
         
         
            
             
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          森脇:コンピュータという対話相手みたいなものができたおかげで,つくってる最中に自分も一観客になって楽しめてしまうような要素って出てくるんじゃないかと思うんですけどどうでしょう.文章書くときでもワープロ派っていう人がいて,ワープロで書くと読み返したときに客観的に読めるからいいんだという人がいる.手でガーッと書いてるうちは没入しちゃって,「自分のことを伝えたい,伝えたい」だけなんですけど,いまおっしゃったような「自分も楽しめるものじゃなきゃ」みたいなところっていうのは,コンピュータとの関係のなかから生まれてくるところがありますね. 
             
            岩井:そうですね.少なくともコンピュータがなかったら,僕はこんな作品をつくってなかった.よく,自分に伝えたいことがあって,だからコンピュータを道具として使うとか,自分のなかにまずイメージとかコンセプトが全部あって,テクノロジーは単なる道具にすぎない,アーティストって必ずそういうものの言い方するじゃない.自分のほうはすごくて機械は偉くないっていうような. 
             
            森脇:だから,パソコンを買うときには使う内容を決めてから買いなさいとか,アドバイスしたりね. 
             
            岩井:だけど僕は,そうじゃなくて,あるテクノロジー——コンピュータでもいいんだけど,それによって刺激される自分というものをすごく楽しんでるのね.まず新しい技術があって,それによって自分がどう影響されてどう変化したかっていうのを,他の人にも体験させたい.僕の作品が展覧会に展示されて,そこに見に来た人がどう変わっていくか. 
             
            森脇:自分を拡張させてくれるものでもあるし. 
             
            岩井:自分の経験をそのまま伝えてるようなものなんですよ. 
             
            森脇:それが観客の次の拡張につながっていく. 
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