ICC





はじめに
入場料
岩井俊雄氏インタビュー
西田雅昭氏インタビュー




1. かつての秋葉原,かつてのパソコン
2. ピーピング・ジャップ
3. JUGという組織
4. パソコミに踊らされるパソコン
5. パソコンのなかは「がらんどう」
6. 光るパソコン
7. 「見えるパソコン」
8. 8ビットマシンと32ビットマシンのちがい
9. マイクロソフトの野望
10. 衝撃のない90年代
11. ダウンサイジングということ
12. パソコンの将来
参加作家
イヴェント




ニュースクール'95パソコン倶楽部
公開講座
2月2日(金)
2月4日(日)
 
1996年2月 [終了しました.] NTT/ICC推進室





マイクロソフトの野望


西田:ただ,私は,そうしたことより,マイクロソフト社が世界を制覇することが許せないと思っているわけです.私はもう,マイクロソフト=アメリカと思ってますから,アメリカの世界戦略の一環で動いてるとしか思えません.かつてフォードやジェネラル・モーターズが「強きアメリカ」の象徴だったのが,IBMが「強きアメリカ」の象徴になった.私は,「ヨコシマなIBM」と呼んでるんです,ロゴに縞が入ってますから(笑).
 いま,「強きアメリカ」の象徴はマイクロソフトで,情報がインプットされ,世界が制覇される——事実,その方向に着々と進んでいる.いまマイクロソフト社は個人ユーザーなんて全然気にしてない.マイクロソフト社が出してくる製品はほとんど大企業目当て.何百台のLANとかを対象にしていて,個人ユーザーはまぁ,しょうがないからやっている.最後の野望はマイクロソフト・ネットで世界を——インターネットを包含するネットワークを作ろうと言ってるわけで,これが許せない.許せないけれど,本当に道具としてのコンピュータの考え方はやっぱりすごく進んでいて商売も上手です.
 常にあそこはまず夢を売る.そうとう遅れて「実はこのぐらいのものですが」と夢の内容を出してくると,みんなが騒ぐというふうになっている.その方向というのはある意味では正しいのかもしれません.ただ,それがいかに分散化の方向に進められるか.コンピュータのアーキテクチャは分散処理であると言っていながら,マイクロソフトの言う通りにやらないと動かない.言ってることとやってることがずいぶん違う.だから,文化的には非常に不愉快ですが,道具としては便利になってきている.
 しかし,どういうアーキテクチャで,どういうふうにして便利さを実現してるかということを勉強しだすと,もう,わかる人がほとんどいない.だんだん神がかりになってきた.わかんないけど動いている.ちょっとイヤな世界,ある意味では恐ろしい世界.もっとプリミティヴなところで,やってみようじゃないか,人間の体温が通じるぐらいのところをやってみたいなというのは,私,すごく面白いと思います.
 ただ,面白いと思いますが,それをシステムに押しつけることはできないんじゃないかな,残念だけど.
 でも,ある程度目に見えるものが出来て——ソフト的にもできるし,ハードもそういうのをつくってもいい——,やっていけば,面白いですよね.私らの仲間でも,いまの若い人は勉強しないとか文句言う方がいるんですけど,私らはマイクロコンピュータが出来る前から触ってますから,ずーっと細かいことを目で見てるわけですね.私なんかも専門教育受けてないんだけど細かいことをやってる.いまは大学行って,その15年間ぐらいの分をいっぺんに勉強しなきゃならない.私らはむしろ幸せで,いまの若い方の場合には…….