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イヴェント・レポート

ICC キッズ・プログラム 2026「みかんのやくそく——つくって、とらえるメディア・クリエイションズ」ギャラリーツアーレポート

2026年8月30日 15:10

8月1日(土),ICC キッズ・プログラム 2026「みかんのやくそく――つくって、とらえるメディア・クリエイションズ」の関連イヴェントとして,ギャラリーツアーを開催しました.

企画担当の鹿島田(ICC)とギャラリー・ツアー参加者

8月1日(土),ICC キッズ・プログラム 2026「みかんのやくそく――つくって、とらえるメディア・クリエイションズ」の関連イヴェントとして,ギャラリーツアーを開催しました.本ツアーは,新宿区立角筈図書館との共催により,2015年度から継続して実施しているプログラムです.

昨年度に引き続き,今年度も,ICC学芸員の鹿島田が会場を巡りながら,本展のテーマや各作品の見どころについて紹介しました.参加者は作品を実際に体験しながら,作品に用いられているメディア・テクノロジーや,それぞれの作品が投げかける問いについて理解を深めました.図書館からは,久保田館長と司書のおふたりが今年も参加してくださいました.



最初に紹介したのは,会場であるギャラリーAと情報空間をつなぐ,もうひとつのICC「ハイパーICC」.ハイパーICCでは,《みかんのき》で制作された「みかんの実」や,《みちのからだ》で生成された3Dオブジェクト,《Unreal Pareidolia -sandbox of shadows-》でAIが生成したイメージなどが情報空間上に蓄積され,展覧会終了後もインターネットを通じてアクセスすることができます.会場で生まれた体験が情報空間へと広がり,展示終了後も新たなかたちで楽しめる本展ならではの仕組みについて紹介しました.


会場に入ってすぐ左手のCircuit Lab. a team of UNIBA《みかんのき》へ移動.本作では,作品デヴァイスを手に空間を歩き回りながらさまざまな色を集めることで,点群データとして表現された「みかんの実」を生成し,自分だけの「みかんの木」を育てます.ツアーの参加者は,すぐ近くで作品を体験する子どもたちの様子に目をやりながら説明に耳を傾け,「やってみたいね」と親子で話す姿も見られました.


続いて,AR Audio Guideチーム(glow)「ひかりのなかの音」のデヴァイス貸し出しブースへ移動.移動する光を追いかけながら展示空間を巡り,光の中に入るたびにその場所に対応した音声を聴くことができます.光と音に導かれながら会場を歩くことで,他の作品をふだんとは異なる視点から体験できる,本作ならではの鑑賞体験について紹介しました.

撮影:冨田了平


次に,会場左奥へ進み,堀宏行《みちのからだ》の大きな撮影ブースの中へ向かいました.撮影ブース内で身体を動かすと,その軌跡が時間を含んだ3Dオブジェクトとして生成されます.ここでは,ICC学芸スタッフの鹿島田が実際に撮影ブース内で身体を動かしながら,作品の仕組みを解説しました.参加者は,身体の動きがデータとして記録され,新たなかたちへと変化していく様子を目の当たりにしながら,身体表現とメディア・テクノロジーとの関わりについて理解を深めました.


撮影ブースの外にある展示ケースの中には,ダンサー・振付家の小暮香帆さんのからだの動きの3Dオブジェクトが展示されています.お子さんたちが興味深そうに屈んで鑑賞する姿もありました.収録の様子は,イヴェント・レポート「《みちのからだ》収録レポート──康本雅子さん,小暮香帆さんを迎えて」でご覧いただけます.

撮影:冨田了平


会場右奥にあるスコット・アレン(glow)《Unreal Pareidolia -sandbox of shadows-》では,自分たちがつくった影をもとにAIがイメージを生成する体験について紹介しました.参加者は,影から思いがけないイメージが生まれる様子を体験しながら,「見立て」という行為や,人とAIとの関係について考えるきっかけを得ているようでした.


最後に,metamu《Ambient Music Sequencer》では,ボールの位置や動きによって音楽が変化する仕組みについて紹介しました.参加者は実際にボールを動かしながら音の重なりやリズムの変化を体験し,それぞれの操作によって変化する音楽に耳を傾けていました.


会場を出て,ロビーに設置されている,岩井俊雄《マシュマロモニター》についても紹介しました.画面の前で身体を動かすことで,映像の中に自分の姿が現われ,コンピュータとのインタラクションを楽しむことができる本作は,ICCで長く親しまれてきた作品のひとつです.

岩井俊雄《マシュマロモニター》
撮影:木奥恵三

いわいとしお『100かいだてのいえ』を紹介するICC学芸員


今回のツアーでも,参加者は実際に作品を体験しながら,身体の動きが映像として反映される仕組みや,コンピュータと人との関係について考えました.また,岩井俊雄さんが絵本『100かいだてのいえ』シリーズの作者でもあることを紹介すると,図書館を利用する子どもたちからは親しみを持った反応が見られ,メディア・アートと絵本という異なる表現のつながりについて知る機会となりました.


ツアー終了時には角筈図書館司書のみなさんとICC学芸スタッフがリストを制作した,資料を調べる時に役立つ「パスファインダー」が配布されました.図書館の蔵書から展覧会のテーマや展示作品で用いられている技術や,「点群データ」「AI」といった用語やその背景にもつながる絵本や書籍が紹介されています.会期途中からは展示室の前にもお持ち帰りいただけるパスファインダーとリストに挙げられた絵本,書籍が閲覧用として手に取れるように設置しています.
また,その左隣では,展覧会の鑑賞を振り返ることができるワークシート『「みかんのやくそく」を思い出そう』も配布しています.「ハイパーICC」での展示や体験のアーカイヴとともに,ぜひお手に取ってお楽しみください.

閲覧用の絵本,書籍(左)とパスファインダー(右)

ワークシート『「みかんのやくそく」を思い出そう』


ツアーを通して,参加者は作品を体験するだけでなく,その背景にある考え方や制作の意図について理解を深めました.「つくること」「とらえること」を多様なメディア・テクノロジーを通して考える,本展の魅力をあらためて感じられる機会となりました.

会期も残すところあとわずかとなりました.ぜひ会場に足をお運びいただき,本展ならではの体験をお楽しみください.



【開催概要】
ICC キッズ・プログラム 2026「みかんのやくそく——つくって、とらえるメディア・クリエイションズ」
会期:2026年7月25日(土)—8月30日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]  ギャラリーA,ハイパーICC
開館時間:午前11時―午後6時
入場無料(当日入場は事前予約者優先)
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] (NTT東日本株式会社)
協力:情報科学芸術大学院大学 [IAMAS]
後援:渋谷区教育委員会,新宿区教育委員会,中野区教育委員会,文京区教育委員会




[K.A]