「みかんのやくそく」というタイトルには,まだ完成していないもの,これから誰かに手渡されていくもの,そして参加のたびに少しずつかたちを変えていくものを通して,約束を見つめ直そうとする思いが込められています.それは,コンピュータをはじめとするメディア・テクノロジーが本来約束していたはずの「誰もがつくり,考え,とらえ返すことのできる環境」への問いでもあります.
本展では,生成AIを含む今日のメディア・テクノロジー環境を,子どもたちの多様な実践を通してとらえ直します.テクノロジーを単なる道具ではなく,ときに応答し,予想外の結果を返す関係性としてとらえることで,「誰がつくるのか」「表現はどこから生まれるのか」という根源的な問いを,あらためて現在にひらいていきます.
本展がひらく問いは,つくる体験のなかだけにとどまるものではありません.子どもたちの実践や来場者の経験は記録として蓄積され,未来へと接続されていきます.展示空間は完成した作品を並べる場所ではなく,人々の関与によって変化し続ける,まさに「メディア・クリエイションズ」の現場となるのです.