私たち筧康明研究室は,2008年に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)エクスデザイン(XD)プログラムの中に立ち上げられました.XDプログラムは,学際的な視点で統合的にデザインを行なうこと,複雑化するデザインを理解し新しい価値創造を行なうことを目指す,新たなデザイン・プログラムです.インタラクティヴ・メディア研究者の筧康明は,このプログラムの創設に参加し,研究員,学生と共に,エンジニアリング/アート/デザインの汽水域における研究・制作活動を展開しています.
今回の展示は「HABILITATE」という言葉をテーマに据えました.これは,リハビリテーションという言葉からReを外した動詞です.リハビリテーションの語源はラテン語のreとhabilisが合わさったものと言われています.マイナスをゼロに戻して「再び」環境に適応するというリハビリテーションに対して,HABILITATEという言葉からは,「今」を基点としてプラスに作用する状態を目指すという,よりポジティブなニュアンスを感じます.今回私たちが展示するのは,「ヒトとモノ」,「ヒトとヒト」,「ヒトと場」など今そこにある関係を,少し新しく,そして時に少し良くするためのデザインおよびエンジニアリングの取り組みです.
この取り組みは現在,「物理世界(Atoms)とデジタル世界(Bits)の融合」,「AtomsとBitsが融合した新たなメディア・ツールと人間とのインタラクションのデザイン」,そして「身体的や社会的に『人間が今より少し進化する』ためのアクティヴィティの実践」という,大きく三つのステージで進められています.(筧康明)
協力:
JST-CREST「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」研究領域
旭硝子株式会社