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スタッフ・ノート

「ICC アニュアル 2023 ものごとのかたち」展 設営レポート

2023年6月18日 21:50

6月24日(土)よりはじまる「ICC アニュアル 2023 ものごとのかたち」展に向けて,ICCの展示会場では出品作家による展示作品の実験や,設営作業が行なわれています.今回は,3組の作家による展示準備の様子をお伝えしていきます.

右から東京大学 舘研究室の金岡大輝さん,西本清里さん,割鞘奏太さん

6月24日(土)よりはじまる「ICC アニュアル 2023 ものごとのかたち」展に向けて,ICCの展示会場では出品作家による展示作品の実験や,設営作業が行なわれています.今回は,3組の作家による展示準備の様子をお伝えしていきます.


現在ICCでは,「ICC アニュアル 2023 ものごとのかたち」展オープンに向けて作家の来館も増え,外部の設営スタッフも加わって着々と準備が進められています.会場には,本格的に設営作業が始まる前の早い時期から作家によって試作品などが持ち込まれ,作家とICCの学芸,テクニカルスタッフによって,展示空間での具体的な展示プランの詳細が固められていきました.

伊阪柊さんは映像を中心としたインスタレーション作品を展示します.伊阪さんは2年前にICCで開催した「オープン・スペース 2021 ニュー・フラットランド」でも映像インスタレーション《Sprites》 を出展されました.今回の展示では,映像を3面のスクリーンで投影します.そこで実際に作品を展示する環境での映像の見え方,音の聞こえ方を確認しながら本番用の映像を仕上げる作業を行ないました.

伊阪柊さん

 

今回展示される《The Spumoni》は,《Sprites》と同映像作品シリーズ「Sp-s」の新作でもあります.3DCGによるリアルな映像には,フィールドワークで得られた事実に伊阪さんによる独自の仮説が織り込まれ,現実とは違うどこか不思議な世界が描かれています.観る側の想像力をかき立てる,伊阪さんの作品世界がまたICCの展示室で繰り広げられます.

 

展示室の床面には,映像内とリンクするように床板のパネルやオブジェが設置されます.

 

Natura Machina(筧康明+ミカエル・マンション+クアンジュ・ウ)筧康明さんが,設営に入る前の実験段階として一度作品を持ち込まれ,展示室内で作品を仮組みしながら作品を吊る高さや音の鳴り方を確認していきました.

本展では,2019年に発表されたインスタレーション作品のシリーズ,《Soundform》の新しいヴァージョンを展示します.これはガラス管の中に発熱体を設置した装置であるレイケ管を応用し,発する熱により空気が振動し音が発生する熱音響現象による動的なインスタレーション作品です.

 

筧康明さん(写真中央)

展示で使用されるレイケ菅

 

これまで「Ars Electronica Festival 2019」での展示や横須賀沖の猿島で開催された「Sense Island -感覚の島-暗闇の美術島2021」など,さまざまな場所で展示が行なわれてきました.気温や気流など,展示される環境の影響を受けて変化しつづける作品であるため,毎回展示環境に合わせて,展示用の什器や仕掛けを変えて展示されてきました.今回もまた新たな聴こえ方,見方で作品を楽しむことができそうです.

 

東京大学 舘研究室 × 野老朝雄 × [    ]アンド・コラボレーターズ「つながるかたち展 2.5」に参加する,東京大学 舘研究室の学生である割鞘奏太さんと西本清里さん,また同研究室の学術専門職員として「つながるかたち展」の企画も担当されている金岡大輝さんが来館されました.この日は作品の組み立て作業と,組み上がった作品を高い位置で吊る実験などを行ないました.

割鞘さんと西本さんが,三角形が連なった構造を持つ特注のピースを,折り目をつけながらジョイント部分でつなぎ合わせていき,数時間かけて巨大な構造体を組み上げていきました.

 

ピースはプラスチック素材でできており,軽くてしなる程度の柔らかさがあります.

同じ構造の作品は以前も展示したことがあるそうですが,これまでにない大きさになっているとのことでした.擬似的に照明や展示位置の試行もされ,本番の展示イメージを膨らませていきました.

「つながるかたち展 2.5」では,単純なかたちの組み合わせから,全体として複雑で奥行きのある表現やしくみが生まれる「個と群」* の創造プロセスのもと,芸術,科学,数学,建築など,さまざまな分野を超えた協働によって生みだされた,多様な「かたち」が展示される予定です.


「ICC アニュアル 2023 ものごとのかたち」展はいよいよ今週末にオープンします.どうぞ楽しみにお待ちください!

*  単純なかたちが一定のルールでつながり,全体を構成するしくみは,人工物,自然現象を問わず現われる普遍的な原理であり,野老朝雄氏はこの原理を「個と群」と呼び,多様につながる作品群を生み出しています.東京大学教養学部で開講されている「個と群」(文理融合ゼミナール)では,受講生が野老氏と東京大学の舘知宏氏と協働して,「個と群」の創造プロセスを実践しています.



[M.A.]