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《Sprites》 [2021] “Sprites”

伊阪柊

《Sprites》

作品解説

3Dコンピュータ・グラフィックスによって制作された映像には,空に浮かぶ巨大な建築物のようなものが映し出されています.これは,東京の空港周辺上空に設定されている制限表面という,飛行機の飛ぶ高さと建物の高さを法的に制限する,見えない領域を3DCGによって建築的に可視化したものです.

たとえば,羽田空港の制限空域の立体構造は,不自然な形状の空間となって現われています.それは,制限された高さを超える建築物を建てるために解除されたり,新たな空路が軍事基地や経済的な配慮により増設されたりして生まれたものです.それは,実体を伴わないが,地上と空との関係性を図示する,抽象的な空間であるとも言えます.

その可視化された空域の中では,「スプライト」と呼ばれるオブジェクトが発生し,浮遊しています.この「スプライト」は,雷雲から宇宙空間へ向かう放電と,このオブジェクトのアニメーションを制作に用いられた手法に由来しており,会場に設置されたアンテナが,空間中の電磁波(主に起動しているコンピュータやプロジェクター,鑑賞者のスマートフォンなどの電子機器,身体から発する微弱な静電気,あるいは宇宙放射線など)を検知することで出現し,電磁波の強さに応じて形態や動きが変動します.

この作品は,飛行機が離着陸する際に,乗客の電子機器から発される電磁波による機体への影響や,近年のゲリラ豪雨や落雷の増加といった,電磁波によるとされる電子計器への干渉や自然環境への影響など,さまざまな現象を,アーティスト自身の独自の仮説とともにイマジネーションを拡張して考察するものです.

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