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ICC キッズ・プログラム 2026「みかんのやくそく——つくって、とらえるメディア・クリエイションズ」開催初日レポート
2026年8月13日 16:10

7月25日,ICC キッズ・プログラム 2026「みかんのやくそく――つくって、とらえるメディア・クリエイションズ」が開幕しました.
「ICC キッズ・プログラム」は,子どもから大人まで幅広い世代が,メディア・アートを「見る」だけでなく,「体験する」ことを通して,その仕組みや表現に親しむことのできる展覧会シリーズです.今年度は,「つくって,とらえるメディア・クリエイションズ」をテーマに,身体を動かしたり,音や映像に触れたりしながら,新しい表現やテクノロジーを体験できる作品を紹介しています.
会場では,開場後,次第に来場者が増え,各展示場所で作品を楽しむ親子連れの姿が見られました.作品の前では,身体を動かしたり,耳を澄ませたり,画面の変化を観察したりと,来場者それぞれが思い思いの方法で作品と向き合う様子がありました.
本展には,空間認識,自己位置推定,物体センシング,3Dスキャン,AIによる画像変換,MR(複合現実)など,多様なメディア・テクノロジーを用いた作品が並びます.作品の前では,子どもたちが自ら試行錯誤を繰り返しながら体験する姿や,大人も一緒になって作品の仕組みを考える様子が見られました.
会場に入ってすぐ左手にあるCircuit Lab. a team of UNIBA《みかんのき》は,作品デヴァイスを両手に持ち,展示空間を歩き回りながら楽しむ作品です.来場者は,さまざまな色を集めることで,点群データとして表現された「みかんの実」を生成し,自分だけの「みかんの木」を仮想空間に育てる体験に取り組みました.
会場では,「色を揃えたい」と言いながら一人でじっくりと色を集める子どもや,「お揃いの色にしよう」と二人で画面を見せ合いながら楽しむ子どもたちの姿も見られ,それぞれが思い思いの方法で作品を体験していました.
《みかんのき》の作品デヴァイスを受け取る子どもたち
色を集めて「みかんの実」を生成する子どもたち
同じく,デヴァイスを借りて体験するAR Audio Guide チーム(glow)「ひかりのなかの音」では,移動する光をゆっくりと追いかけながら展示空間を巡ります.来場者は,光の中に入るたびに,その場所に対応した音声を聴くことができます.会場では,光を探しながら,導かれるように,展示空間をゆっくりと歩く来場者の姿が見られました.また,会場内の他の作品から流れる音を聴きながら,親子で「ひかりなかの音」を体験する様子もありました.
「ひかりのなかの音」を体験する子どもたち
他の作品から流れる音に耳を傾けながら「ひかりのなかの音」を体験する来場者
会場左奥の堀宏行《みちのからだ》では,撮影ブース内で身体を動かすと,その軌跡から3Dオブジェクトが生成されます.子どもたちは撮影ブースの中で思いきり身体を動かし,生成された3Dオブジェクトをスクリーンで見ては,「もう一回やる」と繰り返し体験していました.また,ブースの外では,体験する人の動きとスクリーンに現われる立体の変化を見比べながら,「へんなかたち!」と会話を交わす親子の姿も見られました.
《みちのからだ》で身体の動きを撮影する子どもたち
身体の動きから生成された3Dオブジェクト
右奥にあるスコット・アレン(glow)《Unreal Pareidolia -sandbox of shadow-》では,展示台の上にあるブロックや日用品で形をつくり,それらの影がスクリーンに映ります.なにかに見立てて作った形や影が,AIによって別のなにかのイメージに見立てられます.砂場のような広い展示台とスクリーンを舞台に,AIがつくるイメージと影響し合いながら,繰り返し影づくりを楽しむ親子の姿が大勢見られました.
《Unreal Pareidolia -sandbox of shadows-》で影をつくる来場者
AIが影をもとに見立てたイメージ
metamu《Ambient Music Sequencer》では,ボールを動かしながら音の重なりやリズムの変化を体験します.ボールの位置や動きによって音楽が変化するため,来場者はボールを動かしては音の変化に耳を傾け,その違いを確かめながら作品と向き合っていました.複数人が同時に体験する場面では,それぞれの動きが重なり合い,様々な音の組み合わせが生まれる瞬間もありました.中には,作品に耳を寄せて,音を聴いている子どもの姿もありました.
《Ambient Music Sequencer》を体験する子どもたち
《Ambient Music Sequencer》から流れる音に耳を傾ける子どもたち
会場では,子どもたちがひとつの作品を何度も体験したり,体験を終えたあとに保護者やスタッフと感想を話し合ったりする様子も見られました.自ら身体を動かし,音や映像の変化を確かめながら試行錯誤を繰り返す体験は,「つくること」と「とらえること」を行き来する,本展ならではの「メディア・クリエイションズ」を体現していました.
また,本展では,会場であるギャラリーAで起こっているできごとが,インターネット上にある会場「ハイパーICC」に反映されます.「ハイパーICC」は,実空間と情報空間の層(レイヤー)の中に建つ「もうひとつのICC」です.《Ambient Music Sequencer》でつくられている音楽がストリーミングされ,《みちのからだ》の3Dオブジェクトや《みかんのき》のみかん,《Unreal Pareidolia -sandbox of shadows-》の「影の見立て」はハイパーICCに蓄積されていき,展覧会終了後もスマートフォンやパソコンから鑑賞することができます.
「ハイパーICC」キャプチャ画面
会場内に投影された「ハイパーICC」
撮影:冨田了平
ICC キッズ・プログラム 2026「みかんのやくそく――つくって、とらえるメディア・クリエイションズ」は,8月30日(日)まで開催しています.身体を動かし,音や光,映像に触れながら,新しいメディア・テクノロジーによる創作体験を,ぜひ会場でお楽しみください.
【開催概要】
ICC キッズ・プログラム 2026「みかんのやくそく——つくって、とらえるメディア・クリエイションズ」
会期:2026年7月25日(土)—8月30日(日)
休館日:8月17日(月),24日(月)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA,ハイパーICC
開館時間:午前11時―午後6時
入場無料(当日入場は事前予約者優先)
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] (NTT東日本株式会社)
協力:情報科学芸術大学院大学 [IAMAS]
後援:渋谷区教育委員会,新宿区教育委員会,中野区教育委員会,文京区教育委員会
[K.A]