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チャンネルICC

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ウー・チーユーのインタヴュー抄訳

2026年8月 5日 17:45

「チャンネルICC」内のポッドキャスト・サーヴィスでは,「ICC アニュアル 2026 遺す/残る/受けとめる」出品作家のウー・チーユーのインタヴューを公開しています.今回は,インタヴュー内容の抄訳をご紹介します.


「ICC アニュアル 2026 遺す/残る/受けとめる」出品作家インタヴュー
ウー・チーユー


はじめに

こんにちは.ウー・チーユーです.今回展示している作品は「セルロイドの物語」というシリーズです.これは,アーティスト・フィルムとリサーチをベースとした実践を組み合わせた,継続中のプロジェクトです.

制作の出発点

私は,最も初期の映像メディアのひとつであるセルロイド・フィルムに注目し,「イメージは実際には何からできているのか」という問いから制作を始めました.近年,皆がAIや新しいイメージ・テクノロジーについて盛んに語っています.しかし私は,それとは反対の問いに関心を持つようになりました.イメージは,私たちが考えているほど本当に非物質的なものなのだろうか,という問いです.

そこで私は,その歴史を遡り始め,最終的に台湾の樟脳の森へとたどり着きました.なぜなら樟脳は,初期映画にとって不可欠な素材だったからです.そこが,このプロジェクト全体の出発点になりました.

歴史を再編集する方法としての映像

私の作品の多くは映像に関するものですが,とりわけ関心があるのは,映像と時間との関係です.私は,映像を歴史を再編集するための方法として考えています.映像は,異なる瞬間を再訪し,切り離されていた場面をつなぎ直し,そもそも歴史がどのように構築されたのかを考え直すことを可能にします.

また私は,イメージがどのように生産されるのか,そして自然なもの,あるいは見えないもののように思われているテクノロジーが,しばしば資源の採取や植民地の歴史,そして私たちと環境との関係に結びついていることにも関心があります.

私のプロジェクトの多くは,とても小さな手がかりから始まります.それは一本のフィルム・リールかもしれませんし,一枚の地図や一つのアーカイヴ資料かもしれません.そして私は,その手がかりが導いてくれる先を追っていきます.私はいつも,自分自身にひとつのシンプルな問いを投げかけています.私たちがイメージを見るとき,実際には何を見ているのか.そして,もはや何を見なくなっているのか.

「セルロイドの物語」について

「セルロイドの物語」は,まさにその問いの延長線上にあります.それは,台湾の樟脳の森がいかにして映像メディアの世界史の一部になっていったのかをめぐる物語です.

リサーチの過程で,私は樟脳がセルロイド・フィルムを作るための重要な原料になっていたことを知りました.そして,その素材を追いかけ始めると,突然,森,植民地時代のアーカイヴ,先住民の抵抗,工業生産,そして世界的な交易ルートといった,まったく異なるいくつもの世界のあいだを行き来することになります.

この作品の中国語の原題は,文字通りには,膜のような薄い層を意味しています.これは,今日のイメージについて考えるうえで良い比喩だと思っています.イメージはしばしば,軽く,簡単に生み出され,ほとんど非物質的なもののように感じられます.とりわけAIにおいては,イメージはまるで何もないところから現れるかのように見えます.

しかし私が気づいたのは,実際にはその逆だということでした.すべてのイメージの下には物質的な歴史があり,その歴史は私たちが想像するよりもずっと長く,重いものです.このプロジェクトは,イメージの表面の下を見ようとする試みなのです.

インスタレーションの構成

今回のインスタレーションでは,「セルロイドの物語」シリーズから3つの映像と展示ケースを組み合わせ,それらを,半分に割られた樟脳小屋の内側と周囲に配置しています.
作品を制作するにあたって,私は脚本を書き,かなり構造化されたナラティヴを用意しました.しかし,来場者に特定の順番に従わなければならないとは感じてほしくありません.そこでただ時間を過ごし,歩き回りながら,それぞれ自分なりの物語を少しずつ組み立てていってほしいと思っています.
なぜなら最終的に,私が伝えようとしているのは,遠く離れた歴史の物語ではないからです.映像メディアはずっと私たちの身のまわりに存在してきたのだということを,思い出してほしいのです.ただ私たちは,ふだんそれに注意を払っていないだけなのです.

これからの展望

私はこれからも,20世紀初頭へと何度も立ち返ることになると思います.なぜなら,ひとつのことを調べるたびに,それがいつも多くの別の事柄へとつながっていくからです.映像をめぐる物語として始まったものは,すぐに,森や帝国,対立,そして世界的なつながりをめぐる物語になっていきます.

さらに興味深いのは,これらの物語が決して消えてしまったわけではないということです.それらはいまも台湾の山々に残っています.そして実際にその場所へ歩いて入り,自分自身の目でその痕跡を見ることができます.

同時に,私はAIのような現代のメディアにも強い関心を持っています.多くの人は,AIがどのような未来をつくるのかを問いかけています.しかし私は,それとは異なる問いを考えています.AIはどのような歴史から生まれてきたのか,という問いです.私は新しいテクノロジーを,完全に新しい始まりとして見ていないからです.むしろ,それらはずっと古い歴史を受け継ぎ,異なるかたちで再び現れているのだと思います.

ご清聴ありがとうございました.



ICC アニュアル 2026 遺す/残る/受けとめる
会期:2026年6月20日(土)—11月8日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーB
開館時間:午前11時—午後6時(入館は閉館の30分前まで) 
入場料:一般 800円(700円),大学生 600円(500円)
無響室作品体験:一般・大学生 200円
年間パスポート:2,000円
* ご入場は事前予約をされた方を優先させていただきます.
休館日:毎週月曜日
* 月曜日が祝日もしくは振替休日の場合,翌日を休館日とします.ただし,9/22[火・祝]は開館します.
休館日以外においても,開館時間の変更および臨時休館の可能性がございます.
企画:吉﨑和彦,指吸保子,鹿島田知也,多田かおり
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC](NTT東日本株式会社)


[K.K.]