チャンネルICC
撮影:木奥恵三
現在開催中の「三上晴子 欲望のコード」では,2010年に山口情報芸術センター [YCAM]で委嘱制作された大規模なインスタレーション《Desire of Codes | 欲望のコード》の新ヴァージョンを展示しています.
アーティストの三上晴子さんの作品はこれまでにもICCでたびたび展示されてきています. ICCコレクションに収蔵されている《存在,皮膜,分断された身体》が1997年の開館当初より無響室で展示されていたことをご記憶の方もいらっしゃるでしょう.
三上さんは国内外で多数の展覧会,フェスティヴァルにも参加されています.参加された展覧会カタログの一部や,希少な書籍をお借りし,ギャラリーAの入り口では,閲覧していただけるようになっていますので,展示と併せてこれらの書籍もお手にとってご覧ください.
また,三上さんが,過去にICCで出演されたシンポジウムやアーティスト・トークの一部はHIVEにてご覧いただけます.
2007年4月に開催したICC開館10周年記念セッション・シリーズ Vol.1特別シンポジウム「メディア×アートの創造と未来」に出演された際のプレゼンテーションでは,1984年に現在のワタリウム美術館でアーティストとしてのキャリアをスタートされたこと,《欲望のコード》のプロトタイプにあたる《Desire of Codes》を2006年に制作され,ストックホルムのKulturhusetや,2007年にはベルリンのTESLA,トランスメディアーレで展示されたことについても語られています.
当初は120個のデヴァイスが取り付けられた「蠢く壁面」の写真とともに,想定されていた作品の展開についても紹介されています.
また,住民基本台帳のシステムから想定される問題点やwebショッピングに見られる履歴からのおすすめ商品が示される例を挙げ,「コード」が欲望をもつことはどういうことなのか,私たちをとりまく社会で密接な意味を持ちつつある「コードから捉えられる個」と「実存の個」の関係にも関心を持ち始めたこと,「知覚とインターフェイス」や「情報社会と身体」というそれまでの作品制作のテーマがご自身の中でも変化してきていることで《Desire of Codes》を制作するに至ったことがお話されていることはとても印象的です.
このプレゼンテーション内では,1996年に視線入力を利用した作品《Molecular Informatics》がキヤノン・アートラボにて発表され,その後さまざまなヴァージョンに展開したことも紹介されています.ICCでは,12月9日より,新作《Eye-Tracking Informatics——視線のモルフォロジー》を関連展示として行ないます.詳細は間もなくお知らせいたしますので,こちらもどうぞご期待ください.
12月16日午後6時からは,アーティスト・トークを開催予定です.三上晴子さん,ゲストに池上高志さん、榑沼範久さんをお招きし,ICC主任学芸員の畠中がお話を伺います.
また,12月17日(土)には,三上さんによるギャラリーツアーも予定されています.
「三上晴子 欲望のコード」展は12月18日(日)まで開催.どうぞお見逃しなく.
■「三上晴子 欲望のコード」展関連イヴェント|→ 詳細|
■ ICC開館10周年記念セッション・シリーズ Vol.1特別シンポジウム「メディア×アートの創造と未来」(中間)http://hive.ntticc.or.jp/contents/symposia/20070421_2
[A.E.]