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HIVE新着映像のご紹介

2011年11月24日 18:57

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ICCインタヴュー・シリーズ「アート&サイエンスの現在」より,村上陽一郎のインタヴューをHIVEで公開しました.


「芸術家も科学者も専門家なんだけれども,でも基礎まで立ち戻れば,実は一つのものではないかと思います」


村上陽一郎氏は,科学史,科学哲学を専門に,東京大学先端科学技術研究センター長などを経て,現在は,東洋英和女学院大学学長,東京大学・国際基督教大学名誉教授を務められています.


インタヴューは,科学史,科学哲学という分野に関心を持ったきっかけから始まり,影響を受けたものとして,イギリスの物理学者/小説家,C.P.スノーの『二つの文化と科学革命』("The Two Cultures and the Scientific Revolution")を取り上げています.これは,1959年にスノーがケンブリッジ大学で行なった講演においての批判―イギリスの社会が理科系と文科系の二つの文化にきれいに分断されていて相互交流がされていないという警告―で,これについて村上氏は,いずれ日本社会もそうなるだろうと考えたそうです.それで,その間を橋渡しすることができれば,また,理科と文科が共通に論じられる土俵はこの分野しかないと思い,この道を進むことに決めたそうです.


続いて,村上氏は,18世紀に啓蒙思想が主流となっていたヨーロッパで起きた,科学におけるキリスト教的解釈からの独立(村上氏は「聖俗革命」と呼んでいる)について,また,日本では「科学技術」と一括りに考えられがちである「科学」と「技術」この二つの違いは何なのかということ,そして,21世紀に科学が進むべき道や深刻化する環境問題などについて話されています.


インタヴューの後半,21世紀の「科学」と「芸術」の関係についての質問において,村上氏は,それらに介在しているのは「技術」だと述べています.手業,つまり,手の延長である「技術」をいろいろなかたちで利用することが芸術の一つの姿であるとすれば,技術が人間の表現活動に大きな新しい可能性を与えてきたことは確かであろうこと,また,その例として,産業革命以後イタリアで興った芸術運動「未来派」が,機械などが発する「騒音」を芸術表現の一つとして認めようとしたことや,放送や映画の黎明期であったその時代に,今後ますます新しい映像や音声の技術を駆使した活動が展開されていくと予言したことなどにも触れています.


このインタヴューは20世紀終盤の1998年に収録されたものですが,21世紀を迎えた現在においても,この中であげられたトピックをいまいちど考えていけたらと思っています.以下,関連する映像やテキストのアーカイヴです.併せてご覧ください.


■「アート&サイエンスの旅―不思議な画集―」
アート&サイエンスとコミュニケーションの問題を歴史的にたどる,ICCのオリジナル映像です.
レオナルド・ダ・ヴィンチから未来派,マルセル・デュシャン,ロシア構成主義,バウハウス,ポップ・アート,コンピュータの誕生と進展,宇宙開発,メディア・アートなど,多様なジャンルのパイオニアたちの試み,芸術運動や科学技術の変容と発展,20世紀の芸術と科学の交感の歴史が,世界各地の取材映像や貴重な資料映像によって綴られています.
http://hive.ntticc.or.jp/contents/annual/travels_in_art_science


■「科学」に関連するHIVEの映像一覧
http://hive.ntticc.or.jp/tag/科学


■制度としての科学と哲学―対話から統合へ 対談:村上陽一郎×黒崎政男
(『インターコミュニケーション』No.18(1996年秋号)収録)
/pub/ic_mag/ic018/interdialogue/murakami.html


■特集:科学にとって美とはなにか
エシックとエステティック―創造性の表現をめぐって 対談:村上陽一郎×坂根厳夫
(『インターコミュニケーション』No.22(1997年秋号)収録)
/pub/ic_mag/ic022/018-030.pdf


○インタヴュー・シリーズ「アート&サイエンスの現在」について
ICCは,「アート&サイエンスの現在」と題する映像インタヴュー集を集積してきました.アート,建築,写真,映画,音楽,テクノロジー,サイエンス,といったジャンルを問わず,21世紀に向けて,従来の思考や表現のフレームにおさまらない活動を行なってきている方々の声を20世紀終盤におさめたもので,20世紀とはどんな世紀であったのか,21世紀はどのような社会になるのか,といった問題が多様な角度から語られています.また,この映像インタヴュー集を編集した以下の書籍をICCショップで販売しています.


『マルチメディア社会と変容する文化 』
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100000701

『科学と芸術の対話 マルチメディア社会と変容する文化2』
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100000832

『想像と創造の未来 マルチメディア社会と変容する文化3』
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100001050


[T.M.]