チャンネルICC
ICCでは,1997年の開館以来,年度ごとの活動をまとめた記録映像を公開しています.
2021年度は,コロナ禍の影響もあり例年とは展覧会のスケジュールも異なりましたが,展覧会はICC キッズ・プログラム 2021「チューンナップ じぶんをととのえる」,「オープン・スペース 2021 ニュー・フラットランド」,企画展「多層世界の歩き方」を開催しました.それぞれの展覧会の関連イヴェントとして出品作家によるアーティスト・トークやワークショップ,パフォーマンスも開催したほか,ビデオ会議システムを用いたオンライン・ワークショップなども行ないました.
「ICC活動記録2021–2022」では,実会場での展示の様子,オンライン展示や関連イヴェントの模様も短い時間ずつですが紹介しています.
2020年度に仮想空間の中のもうひとつのICCとして制作された 「ハイパーICC」 では,実空間での展示が終了した後も継続公開しているコンテンツや,オンライン・アーティスト・イン・レジデンスで制作された作品も公開しています.実会場の展示は終了していますが,オンライン展示は2022年4月7日現在も,ご体験いただける作品を紹介していますので,ぜひご覧ください.
「オープン・スペース 2021 ニュー・フラットランド」展のオンライン展示では,マヌエル・ロスナーによるPC用アプリ 「SPATIAL PAINTING」のダウンロードやイップ・ユック゠ユーによる 《To Call a Horse a Deer/指馬為鹿(うまをさしてしかとなす)》を日本語版,英語版ともに継続公開しています.
マヌエル・ロスナー「SPATIAL PAINTING」
ICCキッズ・プログラム「チューンナップ じぶんをととのえる」展のオンライン・コンテンツのうち,未就学のお子さんでも体験可能な作品やパフォーマンスの記録映像も紹介しています.「わたしたちのウェルビーイングカード」については,3月23日に公開したブログ記事『「わたしたちのウェルビーイングカード」ユーザーミーティング レポート』でも,このカードをふだんから活用してくださっているユーザーの反応もお伝えしています.「自分にとって良い状態でいること」を考えてみるきっかけとして,ハイパーICCで公開されているカードを時々ひいてみるのもお勧めです.
荒牧悠《プルプルピープル》
Coffee Dogs《you understand kawaii》
小鷹研究室(名古屋市立大学)《東京即錯2021》より
正直+臼井達也《KB3rd》,8月3日のパフォーマンス映像より
渡邊淳司(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)《「わたしたちのウェルビーイング」未来の日記》
一般的には美術館やギャラリーの実会場でアーティストが滞在制作するアーティスト・イン・レジデンスを,ICC初の企画として 「オンライン・アーティスト・イン・レジデンス」として実施し,3名の作家によるオンラインでの公開を前提として制作された作品も公開されています.
山形一生さんは「オープン・スペース 2021」実会場での展示作品 「Fasten Your Seat Belt」とは全く異なるヴィデオゲーム形式の作品 《Blanketed Cubes》を制作し,2月22日に配信したライヴ・パフォーマンスの中では,今回はじめてこのレジデンス制作のためにUnityを勉強して,一からおひとりで作り上げたとういお話もされていました.《Blanketed Cubes》は,PC版Chromeでのご鑑賞をお勧めしています.ゲームのプレイにはキーボードが必要です.
原田郁さんは「オープン・スペース 2021」で会期を通じて,実際のスタジオでの作品制作の様子を実会場でも映像として公開し,制作の進行に併せてICC館内の展示を段階的に変化させ,実作として完成された絵画作品が展示されました.その様子も記録映像でご覧いただけます.さらに「ハイパーICC」内では原田さんが 《心象スケッチ The Studio in the Multi-layered World》に描き込む景色として制作した「ヴァーチュアル・ネオ・初台」と呼ぶ架空の初台の風景とともに実会場の展示室を含む様子が再現されています.「ハイパーICC」での作品は,PCでのご鑑賞をお勧めします.
うしお鶏さんは,仮想3D空間の奥行き方向にスクロールして読み進む作品《かえり道》を,「多層世界の歩き方」展の実会場では観客がトラックボールで操作できる形で展示し,「ハイパーICC」では実会場での会期終了後に物語が完結する部分までを公開しました.ICCで展示をご覧になった方もぜひオンライン版もお楽しみください.
コロナ禍以降,移動が制限される状況でも作品制作や発表ができる場をどのように作り上げていくか,また,多くの美術館や展示施設でオンラインの試みが行なわれていますが,その中でどのような作品の形が存在しうるのか,新たな表現方法やテーマを探求する作品がアーティストからも提示されました.
実会場での展示をご覧になった方も,ご来場の機会がなかった方もこの映像から2021年度のICCの活動の一端をぜひご覧ください.
[A.E.]