ICC





はじめに
入場料
展示作品




《Kinetic Typography》
《テーブルの上の音楽》
《L.A. Journal》
《境界線》
《 BeWare02: Satellite》
《視聴覚化された「間」》
《存在,皮膜,分断された身体》
参加作家
関連イヴェント




シンポジウム
「タンジブル・ビット:人とビットとアトムの間の境界をデザインする」

シンポジウム
「ウェアラブルコンピュータ」

シンポジウム
「アートとテクノロジーの境界線」

コンサート
シンポジウム
「複合現実感〜現実と仮想の融合から生まれる新しいメディア環境」

ギャラリーツアー(草原 真知子 )
シンポジウム「センソリウム」
ギャラリーツアー(中谷 日出)
シンポジウム(石崎 豪)
ギャラリーツアー(坂根 厳夫)
シンポジウム(岩井俊雄 )
ギャラリーツアー(佐々木 正人)
 
1999年6月22日(火) 〜 7月18日(日) [終了しました.] ギャラリーD





展示作品


《L.A. Journal》
"L.A. Journal"
カール・ストーン





《L.A. Journal》は,休むことなく動き続ける,とらえどころのないひとつの街のあり様を探る作品である.その街ロサンゼルスについて唯一永続的と言えるのは,それが変化し続けているということだけだ.ロサンゼルスの特徴を,大きな狩りの獲物のように剥製にして陳列することはできない.われわれがせいぜいできることといえば,目にも止まらぬ早さでかすめ過ぎてゆくものを,スナップ写真に収めることだけだ.それが残してゆくものは,われわれを踏みつぶそうとしたのはいったいどんな生き物なのか,そいつはいったい何を食べ,どんな異様な光景の中を動き回り,どれほど奇妙な儀式を行なうのかといういぶかしい思いだけだ.

《L.A. Journal》では,「風変わりなフォトジャーナリズム」とでも言うべき,レーザーディスク以前には不可能だった写真のハイブリッドな形式によって,ロサンゼルスの重層的な熱いざわめきをとらえている.ロサンゼルスの歴史の何千枚もの記録写真と,昔のロサンゼルスの音楽のセレクションは,背景として,街の成り立ちやそのアイデンティティのルーツを明らかにする.ロサンゼルスの人々の会話の断片は,そこに住む人に生き生きとした人格を与え,彼らがどう感じているのかを表わしている.さらに,コンピュータの生成する実験的な楽譜は,躍動するフォトドキュメントに彩りを添え,まだ見ぬ未来に向かって突き進むロサンゼルスの姿をあらわにしている.

ロサンゼルスを理解するための,もっともてっとり早い方法は,おそらくその熱狂的で混沌としたダンスに身を投じることである.それは金の落ちてくる所にしゃにむに突進し,後で取り分を数えることである.ロサンゼルスのゲシュタルトをフルに体験するためには,同時に2ケ所にいるだけでは足りない.一千もの場所に同時にいることが必要なのだ.《L.A. Journal》は,ロサンゼルスの多様な面をそのためにかいま見せるものである.フレームごとに分析できるレーザーディスク上に記録された高密度の街のスライスであり,「動き続ける巨大都市」についての重要なドキュメントなのである.