シンポジウム 「タンジブル・ビット:人とビットとアトムの間の境界をデザインする」
日時: 1999年6月22日(火) 15:00 〜 [終了しました.]
会場: ギャラリーD
石井 裕[MITメディアラボ]
人間は,周囲の物理的な環境を読みとって操るための洗練された技能を発達させてきた.しかしこれらの技能のほとんどは,GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)においては活かされていないのが普通
である.われわれが研究を進めるヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)についてのビジョン「タンジブル・ビット」は,デジタルな形の情報に物理的な形を与え,ビットとアトムという二つの世界をシームレスにつなぐことによって,これらの技能を活かしたインタラクションをデザインしようとするものである.
「タンジブル・ビット」というビジョンのもとに,われわれがデザインを進める「触知できるユーザ・インタフェース」は,物理的なオブジェクトや表面
,あるいは空間を用いることによって,デジタルな形の情報を触知できるかたちに具現化するものである.掴むことのできるオブジェクトや拡張された表面
との間で直接行われるインタラクションなど,人間の触覚と運動感覚を利用したデザインを目指している.われわれはまた《アンビエント・メディア》——周囲の光や音,空気の流れ,水の動きなど——を使ったバックグラウンド情報ディスプレイを開発している.これは人間の知覚の周縁において,デジタルな媒介によって運動と存在の感覚を伝達しようとするものである.
われわれの目的は,日々の生活の中での物理世界とのインタラクションを通じて発達してきた,豊かでマルチモーダルな人間の感覚と技能を利用して,GUIにおける「ペイントされたビット」を「タンジブル・ビット」に変えてゆくことなのである.
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