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鋼鉄,モーター,ストロボ・ライト,ウレタン気泡ゴム,アクリル絵具,石膏型取り
427×457(直径)cm |
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ICCから常設作品を委嘱されたバーサミアンは,ヘッドフォン型の受話器など,さまざまな電話の形式を実際に試したそうです.作家は,テレコミュニケーション・テクノロジーの進展する現代において人間がどのように潜在意識的な反応をしているかを研究したのです.電話は「人間と機械間のエレクトロニック・インターフェイスの最も親密な象徴」であり,変容する電話のイメージは,「近代的コミュニケーションの葛藤」つまり「希望」と「警告」を表現しています.投げ上げられた受話器は,哺乳瓶,ミルク,さいころ,骨へと変形しながら,最後には,パラシュートでスピードをゆるめられ,もとの受話器となって,かろうじて曲芸師(人間)の手に戻って来ます.それは,シジフォス神話のように反復されます.バーサミアンの作品の中で,上昇と下降の動きをもつ作品は,現在この作品のみです.《ジャグラー》は,バーサミアンの彫刻アニメーションの一つの到達点を示しているということもできましょう.
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