「デジタル・シャーマニズム」では,市原えつこによる,日本の民間信仰とテクノロジーを融合させることをテーマに,「デジタルシャーマン・プロジェクト」および「都市のナマハゲ - NAMAHAGE in Tokyo(ISIDイノラボとの共同プロジェクト)」のふたつのプロジェクトを紹介します.
「デジタルシャーマン・プロジェクト」は,3Dプリンターで出力した故人の顔を装着した家庭用ロボットに,故人の言葉や身振りなどの身体的特徴を憑依させるプログラムを開発し,遺族と死後49日間を過ごすことで,新しい弔いの形を提案するものです.魔術や信仰,科学やテクノロジー,この両者は,相反するもののように見えて,どちらも「ここにはない何か」を現前させたり,そう感じさせたりする,という性質において,じつは極めて親和性が高く,近い場所にいるという考えにもとづいて,科学技術の発達した現代に,新しい祈りの形,葬り方の形を提案するものとして発想されました.
「都市のナマハゲ」は,秋田県男鹿市で200年以上伝承されてきた「ナマハゲ行事」が持っている,相互監視による集落の維持,子供から大人へのイニシエーション,家族の絆の強化といった機能を再解釈し,ソーシャルメディアによる相互監視や町中に張り巡らされた監視網により蓄積されたデータベースをもとに,都市に実装する試みです.