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「デジタルシャーマン・プロジェクト」 [2015–] ‘Digital Shaman Project’

市原えつこ

「デジタルシャーマン・プロジェクト」

作品解説

コンセプト

「デジタルシャーマン・プロジェクト」は,科学技術の発展を遂げた現代向けにデザインされた,あたらしい弔いの形を提案する.現段階では家庭用ロボットに故人の人格,3Dプリントした顔,口癖,しぐさを憑依させたものを開発した.このプログラムは死後49日間だけロボットに出現し,49日を過ぎると自然消滅する.

魔術や信仰,科学やテクノロジー.両者はそれぞれ遠いところにいるように見えて,どちらも「ここにはない何か」を再現するという性質において,実は極めて親和性が高く,近い場所にいる.『デジタルシャーマン・プロジェクト』では,科学技術の発展を遂げた現代向けにデザインされた,新しい祈りのかたち,葬り方のかたちを提案する.日本人特有の生命や死の捉えかたを探求するリサーチプロジェクトとしても機能させる.

開発に至った理由

祖母の死と葬儀を体験する中で,仏教葬儀の弔いのシステムが非常によく設計できていることに感動したのが開発のきっかけだった.大事な人を亡くした時の感情の揺れや混乱,それをシステマティックな儀式を通して解消することができるのが葬送の仕組みだ.宗教的な葬儀は現代社会においてあまり重要視されないようになり,次第に商業化・簡略化されてきているが,人間の感情を整理するために不可欠なものだ.家庭用ロボットがこれから各家庭に普及していくことになることが予想されるが,人間は「人型」のものに対して異様に感情移入してしまう性質がある.この性質を利用し,新しい弔いを自分なりに設計できないかと思ったのが,開発のきっかけだった.

制作プロセス

再現対象の人間の顔を3Dスキャン&プリントし,音声収録を行い,しぐさの特徴などをロボットにモーションプログラムしている.49日のプログラムが組まれている.1日目にはロボットに人格が憑依し,中日は生前のような会話のやりとりが続き,49日目にはロボットが遺族にさよならを告げる.現在は3名の日本人男女のコピーが生産できた.

(市原えつこ)

クレジット

企画,ディレクション:市原えつこ
アプリ・モーション開発:Uco
企画サポート,映像出演:佐藤詩帆

ロゴデザイン:畑友里恵
写真撮影:黒羽政士
映像監督:高井浩司
映像撮影:Jinam/Akifumi Watanabe

モデル:藤井直敬,中島慎太郎,市原えつこ

支援:文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業(平成27年度)
本研究は,平成28年度 総務省「異能(Inno)vation」プログラムの最終選考を通過いたしました.

アーティスト

展示情報

作品一覧