チャンネルICC
《東京仕草—髪に手をやり振りかえる—》のイラスト・シートの貼り込み作業に立ち会う,津田道子さん(写真手前の右から二番目)
今回のレポートでは,今週末にアーティスト・トークの開催を控えた津田道子さんの,「ICC アニュアル 2023 ものごとのかたち」展設営中の様子をお届けします.
津田さんは今回「ICC アニュアル 2023 ものごとのかたち」展で,《東京仕草》という作品を出品しており,ICCギャラリーBのほか,4階エントランスや5階ロビーでも作品を展開しています.
《東京仕草》は,映画『東京物語』(1953)に代表される小津安二郎監督作品に登場する女性の仕草に着目し,制作されています.
メインとなる作品はギャラリーBに展示されており,そこでは六畳の和室二間を模した展示空間が設えられています.障子や襖に見立てた仕切りなどには,女性の首から下の動きを切り取った映像が映し出されており,その女性はすり足で部屋を歩き回ったり横座りで床に座ったりしています.
映像を投影する前の展示空間
会期中の展示風景
じつは映像に登場する女性の姿は津田さん自身が演じており,映画に出てくる女性の和室空間での振る舞いを,津田さんが振り付けのように記録し,それらをなぞるようにパフォーマンスしています.
六畳二間には,靴を脱いで作品空間の中に入れるようになっています.実際に和室的な設えやスケールの空間に身を置いてみると,映像内の女性の動きに近いような,空間に合わせた振る舞いを身体が自然としてしまう感覚が起こるかもしれません.
投影された横座りする女性の姿
投影される映像の切り替わりや照明が暗転するタイミングなどは,プログラムで制御されており,時間をかけてシーケンスの微調整が行なわれていました.
設営作業中の津田道子さん(写真中央奥)と設営スタッフら
4階エントランスと5階ロビーには,映画内の女性の仕草をトレースしコマ割りしたイラストの作品《東京仕草—髪に手をやり振りかえる—》と《東京仕草—立ち上がる—》が,展示されています.
4階エントランスでの貼り込み作業の様子
5階ロビー《東京仕草—立ち上がる—》
また5階ロビーにはもうひとつ,《東京仕草—娘のセリフ—》という作品も展示されています.こちらはギャラリーBからロビーに戻る際に鑑賞者の目に入るように,ロビーの入口の展示室側の梁の部分に,時々右から左に流れるように,いくつかのセリフの文字が映像として投影されています.
これらのセリフも小津映画から引用した女性のセリフであり,戦後間もない昭和の日本の家族のあり方や,女性が置かれていた立場を感じ取れるようなセリフが選ばれています.
2つのプロジェクターによって投影されている《東京仕草—娘のセリフ—》
11月12日(日)には午後7時より,閉館後の展示室を会場として津田さんのアーティスト・トークを開催します.ゲストにダンス研究者,ダンスドラマトゥルクの中島那奈子さんをお迎えして,今作を中心に津田さんの制作活動についてお話しいただきます.当日はYouTubeでの同時配信も行ないます.
詳細はイヴェント・ページをご確認ください.
またチャンネルICC内のポッドキャストのページでは,「ICC アニュアル 2023 ものごとのかたち」展参加作家による音声インタヴューを順次公開しています.津田さんご本人による作品に関する紹介も現在聞くことができますので,こちらも合わせてお楽しみください.
ポッドキャストはこちらから.
【展覧会開催概要】
ICC アニュアル 2023 ものごとのかたち
会期:2023年6月24日(土)—2024年1月14日(日)
開館時間:午前11時—午後6時(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(1/8[月]は開館),年末年始(12/28–1/4),1/9(火)
入場料:一般 500円(400円),大学生 400円(300円)/高校生以下無料
ICC年間パスポート:1,000円
*( )内は15名様以上の団体料金
* 障害者手帳をお持ちの方および付添1名,65歳以上の方と高校生以下,ICC年間パスポートをお持ちの方は無料
ご入場は事前予約をされた方を優先させていただきます.
事前予約受付は,ご来場希望日の7日前午前11時より,各入場時間の終了までです.ICC受付では当日券を販売します.
予約方法詳細は,こちらよりご確認ください.(外部のウェブサイトに移動します)
[M.A]