チャンネルICC
1月7日に,小学生とその家族を対象とした「おしゃべりファミリーツアー」を実施しました.
このツアーは,これまでに開催してきた解説型のギャラリーツアーとは異なり,作品を数点に絞って,ツアー参加者の発見や考えも織り交ぜながら鑑賞していくプログラムです.今回は,「ICCアニュアル 2022 生命的なものたち」から,《かぞくっち》,《Painting Folding 2.0》,《syncrowd》の3つの作品を鑑賞し,時折ICCスタッフより補足を交えながら,作品を見て気づいたことを参加者のみなさんと話し合いました.
《かぞくっち》では,家と呼ばれるロボットの動きや,それぞれのかぞくっちの色や形に注目しながら,作品の仕組みの中の私たちの社会と似ているところや異なるところに触れていきました.ジェネレーターで遺伝情報をカスタマイズしながら,かぞくっちそれぞれに好みのタイプがあって,それが繁殖に影響したら面白そうといった意見がありました.
《Painting Folding 2.0》では,立体的な織物絵画の中に立ってみたり,AIを用いた作品の成り立ちについて唸ったり,と,子どもと大人とそれぞれの楽しみ方があったようです.たんぱく質の構造を知っていた大人の方が,織物絵画と壁のグラフィックを見て,そのモチーフがたんぱく質であると言い当てる場面もありました.展示室に吊るされた形そのものの印象についても触れられ,朽ちた竜やお化けのようといった感想も聞くことができました.
《syncrowd》では,振り子の動きの変化を追いながら,同期現象という自然現象を機械が生じさせることに有機性を感じる面白さがあるという感想が出てきました.振り子が目覚めたり眠りにつくように見える様子からは「機械の寝室」という言葉も出てきました.音や照明もあわせて展示室全体に広がる空気感を味わう姿が印象的でした.
作品のコンセプトや背景,用いられている技術などは特に小さなお子さんにとっては理解しにくいこともあるかもしれませんが,なんだろう?と考えながらまずは触れてみるのもメディア・アートを鑑賞する醍醐味のひとつではないかなと思います.作品の「ここが気になるな...」とそれぞれが思うところを大事にしながら,さまざまな来場者が作品と向き合って興味関心をより広げられるような機会を今後も作っていきたいと思います.
[K. N.]