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M WOODS HUTONG「坂本龍一:Ryuichi Sakamoto: seeing sound, hearing time」展示写真

2021年6月18日 19:20

4月23日公開のブログでもご紹介した,北京の私設美術館 M WOODS HUTONGにて開催されている坂本龍一氏の個展 「坂本龍一:Ryuichi Sakamoto: seeing sound, hearing time」会場での展示写真をご提供いただいたのでご紹介します.

上写真:Installation view, “LIFE - fluid, invisible, inaudible ...”, 2007/2021, Ryuichi Sakamoto + Shiro Takatani, ‘seeing sound, hearing time’, courtesy M WOODS HUTONG, Beijing, 2021.
Photo by M WOODS photography team


 

Installation view, “LIFE - fluid, invisible, inaudible ...”, 2007/2021, Ryuichi Sakamoto + Shiro Takatani, ‘seeing sound, hearing time’, courtesy M WOODS HUTONG, Beijing, 2021.
Photo by M WOODS photography team

ICCでは2007年に展示を行なった坂本氏と高谷史郎氏のコラボレーション作品 《LIFE - fluid, invisible, inaudible ...》は,1999年に初演された坂本氏のオペラ「LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999」(以下,「LIFE」)の音や映像の一部を用いつつ,インスタレーションとしてパフォーマンス作品とは異なる表現形式で再構成され,山口情報芸術センター [YCAM]で制作・発表された作品です.「ICC 活動記録映像 2007–2008」(10:53–)では,ICCでの展示時の記録映像もご覧いただけます.

2018年には,韓国ソウル特別市のGLINT社のアートスペース「piknic」のオープニング企画展として開催された坂本氏の個展「Ryuichi Sakamoto Exhibition: LIFE, LIFE」でも規模を展示スペースに合わせて変更して展示されました.

YCAM,ICCで展示された作品は9個の水槽が使用されていましたが,今回の北京の展示では12個の水槽での構成となり,どのような音の響きと映像が空間を満たしているのか,北京の観客のみなさんがどのような反応をされているのか気になるところです.

天井からグリッド状に吊り下げられた水槽には霧の発生装置とスピーカーが取り付けられています.それぞれの水槽の上に設置されたプロジェクターから投影される映像は,水槽に張られた水のゆらぎとたゆたう霧を通過して一瞬として同じ状態をとどめない「装置」を通して鑑賞者の目にとどきます.個々の水槽のスピーカーと鑑賞者の距離や位置によって聴こえる音も一律ではなく,展示空間内に響き合う音を移動しながらの体験は,壁面やスクリーンに投影される映像を固定の位置から鑑賞するのとは明らかに異なります.


 

Installation view, “LIFE - fluid, invisible, inaudible ...”, 2007/2021, Ryuichi Sakamoto + Shiro Takatani, ‘seeing sound, hearing time’, courtesy M WOODS HUTONG, Beijing, 2021.
Photo by M WOODS photography team

2007年9月にICCで開催した,坂本氏,高谷氏によるアーティスト・トークの記録映像は映像アーカイヴ HIVEで公開しています.HIVEでは前後半合わせて2時間弱のこのトークでは,オペラ「LIFE」の要素を分解して再構成することや,制作の背景についても細かに語られています.ごく一部だけですがお二人の発言を引用します.


坂本:オペラがひとつの西洋音楽の集大成的なフォーム,かたちだとすれば,まずは始まって終わりがあるという一直線上に進む時間の桎梏から逃れられない.このインスタレーションはどこの場所で聴く,見るのが正解,正しい場所というのがないのね.真ん中というわけでもないし,どこでもいいんです.

高谷:自分ではコントロールしにくいもの,たとえば曇りガラスに映すとか,いろいろ考えてきていたんですね.だからその方法と「LIFE」(オペラ)で,今度,インスタレーション・ヴァージョンでは,invisible, inaudible, fluidityということが全部重なってきて,これはいけるな,と.


 

2007年9月15日開催 オープニング・トーク「《LIFE - fluid, invisible, inaudible ...》をめぐって」 撮影:福永一夫

オペラ「LIFE」にも関わられ,お二方の作品を継続して観てこられた浅田彰氏の司会によって掘り下げられるトーク,この機会にぜひご視聴いただければと思います.

また,坂本氏と高谷氏による新作舞台作品「TIME」が,オランダ​の芸術祭 Holland Festivalで今週末初演され,この公演の模様は6月27日より29日までの48時間限定でアーカイヴ配信(有料)されるそうです.詳細は以下よりご覧ください.


坂本龍一,高谷史郎「TIME」
https://www.hollandfestival.nl/en/program/2021/time/
配信予定日時:6月27日(日)—28日(月)
サウンド,コンセプト:坂本龍一
ヴィジュアル・デザイン,コンセプト:高谷史郎
ダンサー:田中泯
笙:宮田まゆみ


映像アーカイヴ HIVE
トーク「《LIFE - fluid, invisible, inaudible ...》をめぐって」
開催日:2007年9月15日
出演者:坂本龍一,高谷史郎,浅田彰,中沢新一(ゲスト)

【前半】
https://hive.ntticc.or.jp/contents/artist_talk/20070915

【後半】
https://hive.ntticc.or.jp/contents/artist_talk/20070915_2


[A.E.]