ICC

《リコンフィギュラブル・ハウス:ハッキング・ローテック・アーキテクチャー》
"RECONFIGURABLE HOUSE: HACKING LOW TECH ARCHITECTURE"
2007
ウスマン・ハック+アーダーム・ショムライ=フィシェル
撮影:木奥惠三
ペンギン型の無線機,樹脂で固められた猫の人形など,改造された電子玩具がぎっしりと吊り下がり,光や音を放つ「家」が建っています.家の中にはタッチ・スクリーンの端末が設置されており,訪れた人はそれを操作することで,これら玩具の電子的なつながりをソフトウェア上で「リコンフィギュア(変更)」することができます.
この作品では,既成のローテック・ガジェットの改造(ハッキング)やそれによって実現される新たな仕組み,そしてインタラクティヴなシステムを「アーキテクチャー」と呼んでいます. ハックとショムライ=フィシェルは,ただ反応(リアクト)するのではなく,「反応する領域自体が影響され変化していくこと」が重要であると述べています.それは各人が,自分にとって最適な状態に「リコンフィギュア」可能なインタラクティヴィティを指向するものであり,IT環境がはりめぐらされユーザーに立ち入る余地を与えない,「スマートホーム」と呼ばれるものへの彼らなりの批評ともいえるでしょう.

*センサーや玩具は中国製で,2006年のヴェネチア建築ビエンナーレのハンガリー館で展開されたインスタレーション《Re:orient》で使われたものを再利用しています.

アーティストによるこのプロジェクトのサイト"Reconfigurable House: Hacking low tech architecture"では,ICCの会場の詳細および会場内のセンサーのデータ値(開館中はライヴでフィード中)およびウスマン・ハックの主宰する《EnvironmentalXML》のデータフィードを得ることができます.
インタラクティヴなデザインやプロジェクトを展開するウスマン・ハック(ロンドン在住)とアーダーム・ショムライ=フィシェル(ブダペスト在住).ともに建築家である二人は,2005年以降,いくつかのプロジェクトでコラボレーションを行なっている.そこには既存のメディアへの介入,技術の脱神話化や共有という姿勢を一貫して見ることができる.

ベンディング
既存のハードウェアやソフトウェアを改造して,誤作動を含めた新たな創造物や機能を生み出す行為.既製品の改造,電子回路の組み替え,ソフトウェア上の操作など多岐にわたり,それらが複合的に行なわれることもあります.とりわけ90年代末以降,オープンソース・ムーヴメントの隆盛とともに,メディアを自作するDIY的姿勢や各人のノウハウを共有していくコミュニティ的な側面とともに,ひとつの潮流を形成しています.