ICC
ライト・[イン]サイト—拡張する光、変容する知覚
《キャンドルテレビ》写真提供:原美術館
《キャンドルテレビ》1980年
ナムジュン・パイク
旧式のブラウン管型テレビ受像機の中身がくりぬかれ,そこにたたずむ点灯されたろうそくがポエティックな印象を醸し出す作品.マスメディアを体現する装置として1950年代以降世界中の人々や空間を照らしてきたテレビが,ここでは空となり,おだやかなろうそくの光がテレビのフレームの影を空間へと投げかけている.たえず情報を発信するテレビから,空気とともにゆらめく光を放つテレビへ.それは人々を禅問答のような機知や瞑想的な気分へと遊ばせていく.空の四角い箱からろうそくが光を発するこの装置はまた,カメラ・オブスクーラのラディカルな逆転形ともなっている.原美術館収蔵作品.ナムジュン・パイク1932年韓国ソウル生まれ,2006年米国マイアミ没.50年代よりNYを拠点に活動し,ヴィデオ・アートの創始者として注目される.フルクサスへの参加を含め,実験精神とユーモアをともなった技術へのアプローチで世界的に活躍.80年代以降ヴィデオ・インスタレーション,都市を衛星中継で結んだパフォーマンス・イヴェント,90年代にはレーザーを駆使したインスタレーションを展開.日本での展示は1984年東京都美術館の大規模な個展(1984),ワタリウム美術館での個展(1993, 2006/没後)など多数.過去に参加した展示・イヴェントろうそくの点灯は,土日祝日の午後2時からを予定しています.