ICC
ライト・[イン]サイト—拡張する光、変容する知覚
《カメラ・ルシーダ:三次元音響観察室》《カメラ・ルシーダ:三次元音響観察室》上:《カメラ・ルシーダ:三次元音響観察室》2005
撮影: 木下ワタル
下:《カメラ・ルシーダ:三次元音響観察室》2006
撮影 ©:エヴェリーナ・ドムニチ&ドミートリー・ゲルファンド
《カメラ・ルシーダ:三次元音響観察室》2008年
エヴェリーナ・ドムニチ&ドミートリー・ゲルファンド
暗い空間の中で眼が慣れてくると,中央にある水で満たされたアクリル性の球体の中に,音から変換された繊細な光の揺らめきが微かに見えはじめる作品.さまざまな周波数の音波群が,水に含まれる化学的な媒質を通過する際に生じる「音ルミネセンス」現象(音波の通過により冷光が発生すること)により,直接光へと変換され可視化される.構想段階では科学者にさえ不可能と思われた現象を,日本,ドイツ,ロシア,ベルギーの科学研究所とともに開発.タイトルにある「観察室」は,起きているミクロな現象が,特定のマージナルな状況の時のみかろうじて可視化されるものであること,また計測装置の精度の限界のため,現象を科学者でさえ把握できないことを意味している.この作品はまた,化学と物理,球体の内と外(世界の内外),現象と観察者などをかつてない方法でつなぎ,相互影響させていく試みでもある.本展では,音圧他を調整できる最新ヴァージョンを展示.
《カメラ・ルシーダ》は1月23日より,整理券発行による予約制で午前10時30分以降,30分毎にご案内します. 1回にご案内できるのは7名様まで,体験時間は約10分間です.ご来場の時間によっては,ご体験いただけない場合がありますので,あらかじめご了承のほどお願いいたします.
「ヴォイス・オン・LiS」にて,この出品作家のインタヴューをお楽しみいただけます.* 英語のみ
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エヴェリーナ・ドムニチ&ドミートリー・ゲルファンドエヴェリーナ・ドムニチ(1972年ベラルーシ,ミンスク生まれ),ドミートリー・ゲルファンド(1974年ロシア,サンクトペテルブルク生まれ),ともにアムステルダム在住.物理学や化学,コンピュータ・サイエンスなど,科学に潜在する新たな可能性にアートの立場から独自の視点を通して挑戦し,可視化する活動を続けている.2002年には国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)での滞在アーティストとして日本で《カメラ・ルシーダ》のリサーチを行なう.本作は,2007年度の文化庁メディア芸術祭にて優秀賞を受賞.
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