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Photo: Orcutt and Van Der Putten; (C) Robert Rauschenberg/VAGA, New York/SPDA, Tokyo |
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Photo: David Heald(SRGM); © Robert Rauschenberg/VAGA, New York/SPDA, Tokyo |
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写真:高山幸三 |
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本作品シリーズでは,5枚のアクリル円盤が,それぞれ独立して前進あるいは後進の回転をするように,5つのスイッチによって操作される.はじめのシリーズ3点は黒インクでシルクスクリーンを施していたが,後のシリーズ3点には赤,黄色,青の色彩を導入した.ラウシェンバーグは,ジョン・ケージやマース・カニングハムらのシアター・ワークへ参加するなかでテクノロジーへの関心を深め,絵画や彫刻においても観客を参加させるインタラクティヴな環境を作ることを意図してテクノロジーを導入するようになっていく.この作品は,イメージの終わることのない組み合わせを観客にコントロールさせている.回転円盤の一種万華鏡的なイメージの変化は,ラウシェンバーグが影響を受けたジョン・ケージのチャンス・オペレーションを思わせもするだろう.本シリーズ制作の翌1968年,クルーヴァーやウォルダウアーらエンジニアたちとの努力の末,共同制作された《サウンディングズ》や《至点》では,観客が意図的に操作することを求められるスイッチ・パネルは隠されることになった.その点において,ラウシェンバーグのインタラクティヴィティの考えは,「見えない環境」のコンセプトへ一歩近づいている.1992年,作家は,もう一度機械によって回転する作品,環境に配慮したエネルギー・システムをテーマとする《エコ・エコー V》を制作した.それは,ソナー反応モーター,自転車の車輪,交通標識などを素材とし,一定の範囲にある障害物や人間などを探知して風車のように回転するものであった. [上神田敬]
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