この展示および作品は,トラストレス(Trustless)というコンセプトにもとづいて制作されています.それは,ピアツーピア・ネットワーク上で通貨の発行や取引が行なわれる,中央銀行のような中央機関が存在しない,ビットコインなどの暗号通貨のメカニズムをモチーフにしたものです.それは,複製や擬装などの,偽の情報が伝達される可能性があるという問題を,分散型ネットワークの各参加者の関与による合意形成技術により解決することで成立しています.この作品では,暗号通貨が国家不在の貨幣を成立させたこと,またそれを成立させているメカニズムが,新しい統治の可能性を示唆していることに着目し,それが現代の社会において,どのような意味を持つのかを考察しています.
展示は二期に分かれており,前半は暗号通貨(Cryptocurrency)の存在や仕組みを知覚する作品.後半は,暗号通貨のメカニズムに人工知能の機械学習を組み合わせて,仮想国家のシミュレーションを試み,そこから現代の問題をとらえようとしています.
協力:アンスティテュ・フランセ東京
*展示期間中に展示替えを行ないます.