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チャンネルICC

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コンテンツ紹介

キム・ヨンウンのインタヴュー和訳

2026年8月 3日 19:30

「チャンネルICC」内のポッドキャスト・サーヴィスでは,「ICC アニュアル 2026 遺す/残る/受けとめる」出品作家のキム・ヨンウンのインタヴューを公開しています.今回は,インタヴュー内容の和訳をご紹介します.


「ICC アニュアル 2026 遺す/残る/受けとめる」出品作家インタヴュー
キム・ヨンウン


オープニング

こんにちは.キム・ヨンウンです.ソウル(韓国)とサンタクルーズ(アメリカ合衆国)を拠点に活動しています.

自己紹介,普段の制作やテーマ

私の作品では,音と聴取を,社会政治的かつ歴史的につくられた産物であり,実践でもあるものとして捉え,考察しています.近年の作品では,音と聴取が特定の歴史的文脈のなかでどのように構築され,技術的に発展してきたのか,また,聴くという行為が,知の生産や脱植民地化の過程にどのような可能性をもたらすのかを探っています.

展示作品の概要

「ICC アニュアル 2026」では,「未来の聴取者へ」シリーズから3作品を展示しています.このシリーズは,20世紀初頭に蓄音機で録音された音源を出発点とし,それらを現代の音響技術と組み合わせることで,新たな物語を紡ぎ出しています.

各作品は,ある特定の録音をめぐる物語を語っています.その録音がどのように,そしてなぜ制作されたのか,それが歴史的・文化的に私たちに何をもたらすのか,そして何を取りこぼしているのかを問いかけています.そのため,このシリーズが今回の展覧会テーマ「遺す/残る/受けとめる」と深く響き合っていることを,とてもうれしく感じました.

《未来の聴取者へ 1》について

《未来の聴取者へ 1》で扱っている歌は,《Love Song: Ar-ra-rang 1》です.この歌は1896年,アメリカの人類学者アリス・フレッチャーによって蝋管に録音されました.フレッチャーは,ワシントンD.C.に留学していた3人の朝鮮人学生に,この歌を歌うよう依頼しました.作品のなかで私は,時間を徐々に遡っていくように,録音のノイズを除去するプラグインを繰り返し適用します.このソフトウェアは本来,録音をより明瞭にするためのものですが,やがて歌そのものまでノイズとして認識し始め,音は次第に断片化していきます.

《未来の聴取者へ 2》について

《未来の聴取者へ 2》は,《未来の聴取者へ 1》で扱われているものと同じ歌を蓄音機で再生する作品ですが,私自身の声で歌ったものです.この作品では,民族誌的録音がやがてノイズへと変質していく過程を反復すると同時に,その録音の有効性を現在へと延長しています.この行為を通して,多くの民族誌的録音につきまとう「死」の含意を少しでも和らげたいと考えています.

《未来の聴取者へ 3》について

《未来の聴取者へ 3》で取り上げるのは,20世紀初頭にアメリカで録音されたアイルランド移民の歌です.もともとはアイルランド系の男性移民の声で蝋管に録音された歌を,デジタル技術によって女性たちが歌う合唱へと変換しています.そしてナレーションでは,女性たちの移住をめぐる物語が語られます.

音と聴取をめぐる問い,展示空間について

これら3作品を通して,私は,音や聴取は固定された現象ではなく,それぞれの時代の必要性や欲望,そして技術によって形づくられるものであることを探っています.
2つの映像作品はヘッドフォンで鑑賞することができますが,《未来の聴取者へ 3》はスピーカーからも音を聴くことができます.そのため展示室では,異なる聴き方を選ぶことができます.
蓄音機は,ICCスタッフが1日に1,2回実演を行ないます.実演中は,作品の音が展示空間のなかで重なり合い,混じり合います.それ以外の時間,展示室は静寂に包まれます.

最後に

音と,音が運ぶ物語が,その時々で異なるかたちで出会い,重なり合う,さまざまな瞬間を楽しんでいただければと思います.


ICC アニュアル 2026 遺す/残る/受けとめる
会期:2026年6月20日(土)—11月8日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーB
開館時間:午前11時—午後6時(入館は閉館の30分前まで) 
入場料:一般 800円(700円),大学生 600円(500円)
無響室作品体験:一般・大学生 200円
年間パスポート:2,000円
* ご入場は事前予約をされた方を優先させていただきます.
休館日:毎週月曜日
* 月曜日が祝日もしくは振替休日の場合,翌日を休館日とします.ただし,9/22[火・祝]は開館します.
休館日以外においても,開館時間の変更および臨時休館の可能性がございます.
企画:吉﨑和彦,指吸保子,鹿島田知也,多田かおり
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC](NTT東日本株式会社)


[K.K.]