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チャンネルICC

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イヴェント・レポート スタッフ・ノート

恵比寿映像祭×ICC 共同企画 シンポジウム レポート

2021年4月28日 17:30

第13回恵比寿映像祭の連動企画として,2021年2月7日に無観客のシンポジウム「映像とともにあること——未来へのアーカイヴ」をICC 4階 特設会場から配信しました.

シンポジウムのテーマである映像のアーカイヴに関して,パネリストそれぞれの所属する館の取り組みの実例を紹介するとともに,コレクション作品や展示会場そのものや展覧会をどのようにアーカイヴしていくかという,さまざまなアーカイヴ対象や手段など,多岐にわたる課題について意見が交わされました.


東京都写真美術館 岡村恵子氏 からは,恵比寿映像祭自体が海外の作家が渡航制限で来日できない中で開催する困難や,3DCGを介してオンラインでの打ち合わせがなされたことなどの新たな試みも紹介され,世界的なCOVID-19の影響下で美術館に求められる長期的な対応が共通の認識として挙げられたほか,コロナ禍において動画配信を利用することが身近になった1年だった実感や,海外のアーティストの会場での立ち合いがなく展示を成立させられる可能性を探ること,東京都写真美術館ならではのコレクションをどのような文脈で見せるかということも今回の恵比寿映像祭では特に意識されたという企画・制作の背景にも言及されました.

 

岡村恵子氏/近藤健一氏

各館ともにイヴェントや展示の記録は蓄積されているという状況ですが,その保存・活用・公開・修復にも多くの課題があることや,具体的なアーカイヴ公開の事例も紹介されました.2020年春以降には,多くの美術館がフォトグラメトリを用いたヴァーチュアル展覧会などのオンライン企画を公開するなど,これまでにない活動が一気に広がりましたが,森美術館 近藤健一氏からは,2020年2月末からの臨時休館に伴い会期途中で終了となった「未来と芸術展:AI,ロボット,都市,生命──人は明日どう生きるのか」で,いち早く展覧会会場のウォークスルー動画をはじめとしたオンライン・コンテンツ「MAM DIGITAL」という企画が紹介されるとともに,これまでも展覧会ごとに3Dで記録することを行なってきていたが,そのデータの保管や公開については課題があることにも触れられました.

東京都写真美術館 田坂博子氏からは,作品をレストアする技術が上がっていることで,コレクションとして所蔵している映像作品を新たな機材やクオリティで展示として見せることの利点も考えられること,また館が保管する貴重なインタヴュー映像にも触れられ,オーラル・ヒストリー,インタヴューの重要性や東京都写真美術館の開館準備に携わられた故・山口勝弘氏の〈イマジナリウム〉が開館時のコンセプトにつながるものとしてあり,「静的な美術館でなく,動的な空間にして行きたい」という示唆に富む言葉を残されていたことが紹介されました.ICCの映像アーカイヴ HIVEにおさめられている1998年に収録された山口氏のインタヴューでも〈イマジナリウム〉について語られている部分「イマジナリウムの概念とその有効性」(22:15–28:57)もご覧いただけます.

 

田坂博子氏/畠中実

ICC 畠中実からはICC開館当初(1997年)の「電子図書館」や「映像コレクション」について,当時の様子と現在の公開状況について語られ,2020年度の活動として休館期間中にアーティストや研究者にウェブ版HIVEで公開されているコンテンツからおすすめの数本を推薦していただき寄稿いただくオンライン企画「HIVEのすゝめ」についてや,特別展「多層世界の中のもうひとつのミュージアム——ハイパーICCへようこそ」で試みた複数の体験方法ができるオンライン展示の多様なありかたの可能性についても紹介されました.

ICC 指吸保子からは,映像アーカイヴ HIVEが2004年に,「百聞は一見にしかず──21世紀の新しい表現の作法を求めて」展の展示の一部としてICC館内のみで《ICC HIVE》として公開され,その後,2006年よりweb版HIVEの公開時にクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを付与して公開していることについてICCの活動の大きな柱となっていることも取り上げられました.

 

指吸保子/《ICC HIVE》「百聞は一見にしかず──21世紀の新しい表現の作法を求めて」展(2004年)展示風景

2004年に収録された,NPO「クリエイティブ・コモンズ」チェアマン ローレンス・レッシグのインタヴューもHIVEで公開していますので,あわせてご覧ください.

限られた時間ではありましたが,シンポジウムという形式で議論を交わす貴重な機会となりました.


【開催概要】
恵比寿映像祭×ICC 共同企画
シンポジウム「映像とともにあること──未来へのアーカイヴ」

パネリスト:近藤健一(森美術館 シニア・キュレーター)|岡村恵子(東京都写真美術館開催当時,東京都現代美術館2021年4月現在),田坂博子(恵比寿映像祭/東京都写真美術館)|畠中実,指吸保子(ICC)
開催日:2021年2月7日


[A.E.]