《エスケープ・ヴェロシティ》は,シンガポール内の三箇所にて2013年から2016年にかけてフィールド・レコーディングされた音源を素材にした作品シリーズです.録音場所はどれも,豊かな生物多様性を保ちながらも,都市開発の対象となる危機にさらされています.生物種間のコミュニケーションに対する関心と,資本主義のスピードへの疑義をもつタンは,録音された鳥や野生動物の発する声を人間の聴覚に合わせて操作したうえで,楽曲として構成しました.《エスケープ・ヴェロシティ I》は,楽曲が刻まれたレコード盤と,タン自作の図形楽譜とで構成されたインスタレーションで,レコードは鑑賞者が自由に再生することができます.映像作品《エスケープ・ヴェロシティ II》では,《I》の図形楽譜を映像の視覚的要素として利用しています.
《エスケープ・ヴェロシティ II》は,ICCシアターにて上映します.《エスケープ・ヴェロシティ II》 [2018]
ザイ・タン
《エスケープ・ヴェロシティ II》