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このアート・インスタレーションのタイトル《CAVEの共同[形]成》には二つの意味がある.第一に,それはアーティストが,CAVEのもつ独特の包みこまれるような視覚イメージを完全なかたちで表現しようとしたということであり,第二には,この作品が「身体」と「空間」との自然な結合を示し,「身体模型」[人形]をその多様な空間的表現のためのインタラクティヴな焦点として用いることを主題として含んでいるということを意味している.
この作品には異なった7つの「世界」がある.それぞれの世界は異なった概念的・美的特徴を観客に対して提示しており,全体として「身体」「空間」「言語」がもつ多様な関係性の,一貫性のある探求となっている.コンピュータ画像は,形態が複雑に変化することを可能にするアルゴリズムとソフトウェア(ベルント・リンターマンによる「xfrog」)によって産み出されている.有機的関係をもった抽象物が,表象的かつ象徴的な形態と結び付くことで,強い独自性をもった,表現的にも高度な三次元映像空間がCAVE内部で産み出される.
インターフェイスは典型的な木製人形(マネキン)を用いている.精密に構成された金属骨格を持ち,その関節部のすべてに測定機器を備え付けた大きな150センチの人形が制作された.CAVEの中心に固定されたその人形の身体を,観客は好きなように動かすことができ,それによって人間の身体情報データを視覚化を行なうコンピュータに送ることになる.このようにして人々が人形を扱っているその状態によって,映像の変化がインタラクティヴに決定されるのである.人形の関節を動かすことで,イメージを産み出すソフトウェアに変化するパラメータを与え,ある特定の人形の動きは特定の視覚的現象につながる(たとえば,手で眼を覆うという動作は7つの「世界」のうちのひとつから,別 のものへと切り替わるきっかけをつくったり,あるいは人形を回転させると視覚空間も回転したりする).
インターフェイスとなる人形に,ある一定の大きさと関節が備わっていることにより,4人まで同時にCAVE内部の映像に協同的に相互作用を及ぼすことができる.このようにして,この作品とのインタラクティヴな体験がその場において多くの観客と共有されることになる.
視覚的空間の三次元的性質が高められるような音環境を生成するため,このインスタレーションにおいては8チャンネルの空間化された音響システムが使用されている.7つの異なった視覚空間のために,それぞれ音楽が作曲されている.これらの音響システムは,(映像同様に)観客が人形をどう扱うかによって変化し,その結果 リアルタイムに同期した音響-視覚変化の同時的な統一性を産み出すことを可能にしている.
アーティスト:アグネス・ヘゲドゥシュ,ジェフリー・ショー,ベルント・リンターマン
音楽:レスリー・スタック
音楽のための動作解析:ジョナサン・バカラック
パペットデザイン,エンジニアリング:フラウェンホーファー研究所IAO(シュトゥットガルト)
制作サポート:ZKM(カールスルーエ・アート・アンド・メディア・テクノロジー・センター),フラウェンホーファー研究所IAO,ボストーク,デイヴィッド・デヒーリ
CAVEシステムは,米国イリノイ大学EVL(電子視覚研究所),NCSA(国立スーパーコンピュータ応用センター)によって開発された総合ヴァーチャルリアリティ空間システムである.正面 ,両側面,床面の4面の大スクリーンに投影される3D立体映像はCAVEのスペース内に浮かぶように映し出され,体験者がインターフェイスデヴァイスなどを操作することによりさまざまな角度から映像を体験することができる. このインタラクティヴな3D立体映像は,CAVEソフトウエアを用いてシリコングラフィックス・クレイ社のグラフィックスシステムOnyx InfiniteRealityにより生成される.グラフィックス処理性能の優れたOnyx InfiniteRealityは,体験者の操作に合わせて,リアルタムに高品質な映像シーンをレンダリング処理し,CAVEシステムの没入感覚を極めたヴァーチャルリアリティを可能にしている.