ICC


浦野大輔×高岡哲也《えもじのおくりもの》

今回のコンテストを通じて垣間見えたのは, ただ単にウェブをメディアとして受け取るだけではなく, 自分の技術で組み替えていこうとする強い意思でした. 大賞となった作品はそれだけでライヴ・パフォーマンスを行える程のクオリティですし,その他の各審査員賞に 選ばれた作品も,それぞれにAPI提供側の想定を超えた(外した)視点が加えられていると感じています. 「goo 特別賞」に選定させて頂いた《えもじのおくりもの》は, シンプルでありながらなかなか興味深い作品です.
gooでは,今まさに検索されているキーワードを表示する「キーワードストリーミング」という作品を弊社が入っている大手町ビルヂングならびにICCにおいて展示したことがあります.そこでも使われているウェブ検索最新キーワードAPIを使ったこの作品では,現在検索されているキーワードが降ってきて絵文字に変わります.
携帯メールなどのより短いメッセージで多用される絵文字は,それ自体が新しい言葉の形の一つ,よりコンパクトな コミュニケーション・ツール,と言えるでしょう.誰かが検索しているキーワードが,他の誰かによって作られた絵文字になって溜まっていくこの作品を眺めていると,それがグラフィックスとして単純に華やかで楽しいのと同時に,かつての日本人は日本語における漢字を発明していくことにより自らの語彙を拡張していきましたが,現代の絵文字文化にもある意味それに通じるものがあるのではないか,と感じさせられます.
私たちも「gooラボ」を通じて日々新しいイノヴェーションを指向して活動していますが,今回のような取り組みを通じ,私たちの提供するサーヴィスが思いも寄らない進化をとげていくのを見まもるのはとても興味深い体験でした.