ICC




《FragMental Storm 02》
2002
エキソニモ
ユーザーが打ち込んだ任意のキーワードが検索エンジンを経由して,ウェブ上で見つかった複数のサイトの図版やテキストをランダムに表示していくソフトウェア《FragMental Storm 02》のインスタレーション版です.お好きなキーワードを打ちこんでみてください. 作品のタイトルには,「Fragment(断片)」「Mental(精神の)」「Storm(嵐)」が含まれています.エキソニモはこの作品を,ウェブ上のデータを世界中に広がった一種の「脳」とみなし,キーワードにより分散している断片が集められ嵐のように交差する,という構想から2000年にVer.1を発表,《FMS02》はそのVer.2となっています.つねに変化しているウェブ上のデータを素材とし,またランダムな表示機能によって同じキーワードでも毎回異なった展開があらわれます.既存のデータをリミックスするこのソフトは,20世紀初頭に実施された偶然によるコラージュや現代のDJ,VJに共通する姿勢を自動的かつダイナミックに実現するものといえます.多くの作品がその存在意義を表現「コンテンツ」に依存するのと比べ,《FMS 02》は既存のデータを流動的に操作する「システム」を作品とすることで,ネットワーク時代の情報共有そして新たな創造のあり方を呈示しています.このソフトはまた,他の機器とつなげるなどユーザーが自由な発想で使いこなしていくことを歓迎しています.
エキソニモは,赤岩やえと千房けん輔によるアートユニットとして,東京およびwww.exonemo.comを拠点に活動している.1996年にウェブ上の実験的プロジェクトから出発し,ソフトウェア,インスタレーション,ライヴ・パフォーマンス,自作デヴァイスなど,持ち前の機知にあふれたハッキング精神でさまざまなメディアへと拡張し,シーンを刺激しつづけている.
ウェブ
ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)の通称.インターネット上で,ユーザーがクリックするだけで世界中のサーバー・コンピュータにあるデータにアクセスできる仕組み.インターネットを加速的に普及させ,グローバルな情報スペースを形成したウェブにアーティストはいち早く挑戦し,90年代半ばにはネット・アートが,続いてソフトウェア・アートが生み出されました.2000年以降はとりわけ,インターネットの常時接続環境を利用した作品やプロジェクトが数多く発表されています.