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2005年10月21日(金)—12月25日(日)ギャラリーA,B,5Fロビー,エントランス・ロビー
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展示作品(会期中,一部作品の展示替えがあります.) |
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佐藤慶次郎
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《エレクトロニック・ラーガ》
"Electronic Raga"
1967/1980年
岐阜県美術館蔵
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二つの端子に直接手が触れることで音が発生し,その接触面積に対応して音が変化する作品.楽器などの演奏技術を持たない人でも,インドのラーガと呼ばれる旋法と似た音と自由に戯れることができる.人間の体を微弱な電気が通るように,複数の人が手を繋ぐなど,体の一部を接触させることでも音を生みだすことができる.
オリジナルのヴァージョンは,個人用の持ち運びができる小さなものとして制作されたが,1975年に電気通信科学館(東京)で展示する際,多数の人が触れるようなヴァージョンを再制作している.
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《オーバー・ザ・ウェーヴス》
"Over the Waves"
1974年
岐阜県美術館蔵
《オテダマ》
"Otedama (Juggling Sacks) "
1974年
岐阜県美術館蔵
《回転シーソー》
"Rotating Seesaw"
1974年
岐阜県美術館蔵
《岐阜ススキ群 '99》
"Gifu Susuki Clump '99 (Susuki: Pampas Grass) "
1999年
岐阜県美術館蔵
制作協力:石川喜一
モノミナ ヒカル—これは佐藤がジョン・ケージの"everything is expressive"という言葉を日本語で言い表したものである.彼の作品で軽やかな動きを見せる小さな玉や輪は,それ自体はとるに足りない些細なものだが,磁気や振動によって,実に豊かな表情をみせる.壊れたスピーカーやイヤフォンから取り出したマグネットや注射の針などを使って,小さく震えながら動き回るオブジェが次々と作り出されていった.それらは,厳密な科学的計算によって生み出されたというよりも,偶然みつけた動きの法則をまさに手探りで目に見える形にしていく〈悦び〉の繰り返しだったように思える.これらの作品は,1974年に「The Joy of Vibration」という南画廊の展覧会で発表された.谷川俊太郎は,佐藤との対談(『ものみな光る』(青土社,1982年)に収録)において,これらの作品は,機能や役割を持つわけでもないが人間に対して認識論的な問いかけをしている点で詩に似ている,という指摘をしている.
普段は隠されているモノそのものの魅力が提示されているように感じられ,現代音楽の作曲と多チャンネル音響システムの制作にたずさわりながら,音ひとつひとつがオブジェとして立ち上がるような仕事をしてきたことともどこか相通じるものがあると言えるだろう.
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《オーバー・ザ・ウェーヴス》写真:宮川邦雄
《岐阜ススキ群 '99》写真:宮川邦雄
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