ICC





はじめに
入場料
展示作品




《信用ゲームα》
《信用ゲームβ》
《Better Living Through Chemistry : Palm Tree / $100 Bill》
《Better Living Through Chemistry : Acid Trip》
《etoy.VALUE-SYSTEM》
《着せ替えられる桃子》
《仕事スケール#GTV/M1》
《もし100万円を素材としたアート作品があったなら,果たしてそれはどれくらいの価値があるのだろうか? *インターネットオークション》
《信用ゲーム 1:10000》
《パワー・オブ・エン》
《エクスチェンジ》
《PLX》
《トレーディング・サーフィン》
参加作家
関連イヴェント




パネル・ディスカッション
アーティスト&キュレーター・トーク
インターネット中継
カタログ
  企画展:「信用ゲーム」
2001年11月2日(金)— 12月24日(月)ギャラリーA, B, C





展示作品


《PLX》
2001年
クワクボリョウタ

PLX

PLX
エレクトロニクス・デバイス/220 x 630 x 480


 人と会話をしていて,しばらく経ってからお互いが全く別の話題に触れていたことに気付く時がある.
 あるいは,間違い電話なのにも関わらず,知人と勘違いして話し込んでしまったというエピソードを耳にすることもある.言葉の辻褄は合っているのに,対話者それぞれの文脈がずれているときに,そんなことがよく起こる.
 <PLX>はそうした状況をごく単純化し再現したシミュレータであり,ヴァーサス型ゲームマシンである.
 二人のプレーヤが,直立した両面表示のディスプレイを挟んで相対して勝敗を競う.ディスプレイ上で点滅するアイコンはこちら側とあちら側で完全にシンメトリに並べられている.ただし対等に配置されたアイコンの絵柄は異なっており,それによって双方で展開するゲームの場面設定は全く違うものになっている.例えば片方がモンスタの吐く火焔を避けながら探査機を着陸させるゲーム内容なのに対して,他方は舞い降りるハートをキューピッドが射止めるストーリにすり替わっていたりする.そして双方のプレーヤの思い入れとは関係なく,この文脈の食い違ったゲームは成立してしまう.
 本作品は作為的に情報のやりとりを歪めた極端な環境であるが,現実のコミュニケーションも絶えずこのようなカラクリとともにある.直に分かり合えるメディアなどないとすれば,メディアそのものの透明度に磨きをかけることよりも,情報の行き違いをどう取り繕うかということの方が,僕には興味深く思われる.