現在「オープン・スペース 2019 別の見方で」にて出品中の三上晴子《Eye-Tracking Informatics》 [2011/19] は,1996年にキヤノン・アートラボで制作発表された《モレキュラー インフォマティクス—視線のモルフォロジー》を原型として,2011年に,山口情報芸術センター [YCAM] で再制作されました.本展では,2015年の三上の死去後,山口情報芸術センター [YCAM] がアップデートと修復を行なった最新版が展示されています.
こうしたメディア・アート作品の再制作の実践は,今後作者不在の作品保存の方法論を考えていく上で重要な問題提起となるものでしょう.さらに,インタラクティヴな作品においては,作品そのものの保存やアーカイヴだけではなく,実際に観客が作品をどのように体験したのかという可動状態の保存も重要な要素となるでしょう.
このシンポジウムでは,インタラクションにおけるデータのアーカイヴを通して,そうしたアーカイヴの新しいアプローチが,今後のメディア・アートのアーカイヴにどのような意味を持つのかを,実際にメディア・アートの再制作および修復に関わった方々をお迎えして議論します.
出演:久保田晃弘,平川紀道,古舘健,三原聡一郎
司会:畠中実(ICC)