このたび,NTTインタ-コミュニケーション・センター [ICC] では,「拡張された感覚―日韓メディア・アートの現在」展を開催いたします.
90年代初頭から十数年で,メディア・アートをとりまく環境は大きな変貌を遂げました.コンピュータの高速化や小型化,インターネットの普及などによって,かつての先端的技術は一般にもごく身近になり,メディア・アートもまた,一部の特権的な表現者によって実践されるものから,より一般的な表現として認知されています.さらに,さまざまなメディアをさまざまな方法で使用することによって多様な表現を生み出しうる,大きな可能性を秘めたものとして認識されるまでになっています.
本展は,韓国・ソウルのギャラリーLOOPとソンシル大学大学院メディア学科,およびICCが共同で開催する,韓国と日本の新進アーティストによる展覧会です.韓国や日本,ひいてはアジアのメディア・アートにおける独自の表現語法とはなにか,日韓のテクノロジーを介したアプローチの差異とはなにか,といったことが中心的なテーマとなっています.また,アート・センター間の共同制作,教育機関との情報交換や交流を通じて,日本と韓国のアーティスト同士が影響を与えあうような相互作用も企図されています.
メディア・アート表現の土台となるテクノロジーは普遍化し,作品における技術的側面での独自性は見いだしにくくなっています.しかしだからこそ,この展覧会では,作品それぞれの表現が前面に立ち現われてくる可能性をもっているといえるかもしれません.
※「EXTENDED SENSES」展は,ギャラリーLOOP(ソウル)にて2008年5月30日から7月10日まで開催されました.その日本展である本展の開催にあたり,展示作品,出品作家の一部が変更されています