コンピュータ・ネットワークの完備によって,グローバル・ビレッジが誕生する……と,さまざまなメディアが楽観的な未来像を語っている.しかし,グローバル化とは,アメリカ語化のことではないか.マイナー言語文化の行方はどうなるか.機械翻訳などの技術的進展を検証しながら,きたるべきネットワーク社会について考察した.エンジニアリングの視点から,機械翻訳研究の草分け的存在の長尾真氏,音声翻訳の開発に従事している匂坂芳典氏,コンピュータで使われている文字コードの問題を一貫して提起している坂村健氏が参加し,コンピュータにおける言語の問題について議論が交わされた.
『ICCコンセプト・ブック』(NTT出版,1997)より引用