ICC





ネットワーク・ビブリオグラフィ
入場料
参加者
イヴェント




ネットワークは国境を越える?
デジタルアートは誰のもの?
公開座談会
NS'95パソコン倶楽部
 
1995年3月 [終了しました.]





イヴェント


ネットワークは国境を越える?

出席者:長尾真坂村健匂坂芳典桂英史上野俊哉水越伸

コンピュータ・ネットワーク社会の到来によって,バラ色の未来が約束されている,と,現在さまざまなメディアが語りかけてきます.コンピュータ・ネットワークの完備によって,地球はより密接に結びつけられ,グローバル・ビレッジがたちまち誕生する‥‥
 さて,ほんとにそうでしょうか.
影響力の大きさを考えた場合,いま急速に伸びているインターネットでは,英語で発信することの有利さは歴然としています.コミュニケーションの効率からいけば,英語を使うべきである,という声が高まることにまちがいはありません.グローバル化とは,英語化,アメリカ語化のことなのでしょうか.マイナー言語およびマイナー言語文化の行方はどうなるのでしょうか.
ここでは,こうした言葉の問題を中心に,ネットワーク社会の功罪について考えてみたいと思います.


「ネットワークは国境を越える?」最初の研究会は,エンジニアリングの方面から,長く言葉の問題を取りあげられてこられた方々にお集まりいただきました.
最初にお話しいただく長尾真さんは,機械翻訳研究の草分け的存在です.
また,最後にお話しいただく匂坂芳典さんは,これからの技術である音声翻訳の開発にたずさわっていらっしゃいます.
坂村健さんは,アメリカ中心の開発が進んでいるコンピュータの世界でオリジナルなコンピュータ・システムである「トロン・プロジェクト」を推進されてこられたことで知られているわけですが,またその一方,コンピュータで使われている文字コードの問題を一貫して提起してこられました.文字コードは,コンピュータのベーシックな部分の問題なので,一般のユーザーには気づきにくい部分でもあるのですが,コンピュータにおける言語の問題を考えるときには,とても重要なことでしょう.


【第三回研究会 目次】

Talk 1——by 長尾真
<機械翻訳の現状><機械翻訳の将来><機械翻訳の技術>
<海外の動向><国内のプロジェクト>
Talk 2——by 坂村健
<コード問題とは?><コード問題の発端><ユニコードの問題点>
<TRONプロジェクトとコード><文字観データベース>
Talk 3——by 匂坂芳典
<音声翻訳とは><文化としての音声翻訳>
Discussion
<エンジニアリングの可能性と限界><言葉の遺産を残す>
<コンピュータが文化を破壊する?><インターネットはスーパーファミコンのバケモノ?>





「ネットワークは国境を越える」の1回目の研究会では,エンジニアリングの方々に集まっていただきましたが,そこで問題になったのは,結局,ネットワークにおける言語的な多様性ということでした.ネットワークができると,地域格差がなくなって誰でもが発信できると言われているわけですが,その一方,画一的な言語文化が流れていく.そうしたときに,どうしたら多様な文化が維持できるのか.今回は,人文系の研究をされている方々に集まっていただき,その問題をもう少し詰めていければと思います.
 最初にお話しいただく桂英史さんは,「知の収蔵庫」といったものにずっと関心を持たれてきた方ですが,そうしたご興味から,新しいテクノロジーを使った「知の収蔵庫」でもあるネットワークについての発言も数多くしておられます.最近では,「知の収蔵庫」を構成する言葉の問題にご関心を持たれているとのことなので,前回の文字コードなどの問題とも関連したお話をしていただければと思います.
 次にお話しいただく上野俊哉さんは,東欧とかオランダといった非英語圏に行かれ,そうした日本同様のマイナー言語圏でネットワークがいかに使われているかということを身近に体験されているので,そのあたりのことをお話しいただきました.
 最後にお話しいただく水越伸さんは,アジアのネットワークやメディア状況に詳しく,中国や韓国などの漢字文化圏をふくめた近隣の国々の動きを語っていただきました.


【第四回研究会 目次】

Talk 1——by 桂英史
<言語による連帯><語構成のアポリア><漢字のイデオロギー>
Talk 2——by 上野俊哉
<グローバライゼーションの内実><ディアスポラの普遍化><メディア・アクティビズム>
<「Next Five Minutes」><ネット・クリティシズム>
Talk 3——by 水越伸
<アジア文化のモード><ユニコード問題の位相>
<東アジアにおける「漢字」の勢力圏><「外国人」のメディア表現>
Discussion
<日本人の言語感覚><エフェクトとしての「文化」>
<文化多元主義の陥穽><漢字の「不気味さ」><ハイブリッド言語>