本サイトをご利用の際,最新版のFirefoxGoogle ChromeInternet ExplorerSafariなどを推奨しております.
現在ご利用のブラウザでは,レイアウトなどが崩れる可能性があります.

JA / EN

チャンネルICC

ブログ

現在進行形のプロジェクト, これまでの活動など,ICCに関するトピックを紹介していきます.

戻る

スタッフ・ノート

「オープン・スペース 2012」がはじまります

2012年5月 2日 20:17

os2012_1.jpg

ジョン・ウッド&ポール・ハリソン《月面で退屈している宇宙飛行士》2011年

5月26日(土)より,「オープン・スペース 2012」がはじまります.

ここでは,展覧会のオープンに先立って,「オープン・スペース 2012」展の出品作品を紹介してみたいと思います.


オープン・スペースは,2006年から開始された,ギャラリー,ミニ・シアター,映像アーカイヴ「HIVE」(ハイヴ)などの,ICCが持つ機能を総合し,入場無料で公開しているスペースです.先進的な技術を用いた芸術表現とコミュニケーション文化の可能性を提示する開かれた場として機能することをめざし,年度ごとに展示内容を更新しながら,今年度で7年目を迎えます.そのメインの展示になるのが,「オープン・スペース 2012」展です.


「オープン・スペース 2012」展は,メディア・アート作品をはじめとした,現代のメディア環境における多様な表現をとりあげ,幅広い観客層に向けて紹介する展覧会です.展示には,メディア・アートにおける代表的な作品,先端技術を取り入れた作品,社会的な諸状況に対して批評的な観点を持つ作品,さらに研究機関において進行中のプロジェクトなどが含まれています.また,長期にわたって展示することで,それらの表現にふれる機会を増やし,作品の理解を助ける解説とともに展示することで,メディア・アートの入門編的な展覧会として,親しみやすく楽しめる展示構成をめざしています.


エントランス・ロビーに展示される,藤木淳《ゲームキョウカイ》は,ヴィデオ・ゲーム30年の歴史が凝縮され,わずかな時間でゲームをプレイするように体験できます.1980年に発売された「ゲーム&ウオッチ」からはじまり,「ファミコン」,「ゲームボーイ」,「プレイステーション」,「セガサターン」,「DS」,「Wii」,「Xbox 360 Kinect」へと進化してく家庭用ゲーム機の変遷を,それらのゲーム機のシミュレーションを通じてたどることができる作品です.


また,昨年度から引き続き,文字盤だけの時計の前に立つと,自分の姿が時計の針として表示される,鈴木康広《自針と分針》が展示されます.

os2012_2
藤木淳《ゲームキョウカイ》2011―12年

/os2012_3
鈴木康広《自針と分針》2009年 撮影:木奥恵三

今年度の研究開発コーナーは,多摩美術大学と東京大学の共同で取り組んでいる「ARTSAT:衛星芸術プロジェクト」を紹介します.平成25年度に打ち上げ予定のH-IIAロケットに相乗りすることが決定した小型副衛星「芸術衛星 INVADER」による,衛星を広く芸術作品に応用するためのプロジェクトです.プロジェクトの概要や具体的なアイデアなど,打ち上げまでのプロセスを紹介していきます.

os2012_4
ARTSAT:衛星芸術プロジェクト

ジョン・ウッド&ポール・ハリソンは,1993年より彫刻,建築,パフォーマンスなどの要素を取り入れた映像作品を制作する英国のアーティストです.日用品などを素材としたり,自然の法則を用いたりした,シンプルなアイデアの中に,意外性やナンセンスなユーモアを感じさせる作品を特徴としています.


展示作品:《66.86m》2003年
     《扇風機/紙/扇風機》2007年
     《もう1km》2009年
     《10×10》2011年
     《月面で退屈している宇宙飛行士》2011年
     《非現実的な登山家》2012年

os2012_5
ジョン・ウッド&ポール・ハリソン
《扇風機/紙/扇風機》2007年

os2012_6
ジョン・ウッド&ポール・ハリソン
《もう1km》2009年

シルパ・グプタは,インドを代表するアーティストとして,ヴィデオやインターネットなどのメディア・テクノロジーを使用して,文化社会批評を含んだ作品を多く制作し,現在,国際的に活躍しています.《無題(シャドウ)》は,カメラにとらえられた自分のシルエットがスクリーンに投影されると,画面の上方からいろいろな「もの」のシルエットが,リアルタイムに観客の動きに反応しながら降ってくるインタラクティヴな作品です.


ジュリアン・メールは,スライド・プロジェクターとオリジナルの装置を組み合わせるなど,アナログな機材をコンピュータ制御されたデヴァイスによっ てリアルタイムに操作することで,これまでに例のない映像装置としての独自の映像世界を作り出します.また,オープンにあわせて作家が来日し,パフォーマンスを行なう予定です.開催日時はまもなくお知らせします.


展示作品:《切り立った映画》2011年
     《フリップ・ドット・ミラー(スモール・ヴァージョン)》2011年 ほか

os2012_7
シルパ・グプタ《無題(シャドウ)》2006―07年

os2012_8
ジュリアン・メール《切り立った映画》2011年

市川創太を中心に開設された建築ユニットである,ダブルネガティヴス アーキテクチャーは,通常とは異なる空間表記法などを用いて,環境の諸条件に応じて生成変化する建築などを構想することで,建築そのものが自律的に自己をデザインする可能性を追求しています.今回の展示,「コーポラ 凝固・凝結」では,そのプロセスを意図的に凝固・凝結させて,ものとして現出させる手法によって,実際に使用されていたインテリア什器を含め,模型・ドローイングを交えて解説します.


地球上には,宇宙線と呼ばれる放射線がつねに降り注いでいます.逢坂卓郎は,普段は見ることのできない,この宇宙線をLED(発光ダイオード)によって視覚化する作品を制作しています.《生成と消滅 2012》は,センサーが宇宙線を検知するとLEDが明滅し,それによって会場の空間が,自然の与件に応じて変化していきます.
今回はICCの展示空間にあわせた作品が制作されています.

os2012_9
ダブルネガティヴス アーキテクチャー
《ケペッシュ・インスティテュート エントランス》2012年(エゲル,ハンガリー、2012)(参考図版)

os2012_10
逢坂卓郎《生成と消滅 MARL》2004年(参考図版)
撮影:大塚聡

成瀬つばさ「リズムシさんのへや」では,総計250万ダウンロードを記録したという,タブレット端末用の楽器アプリケーション「リズムシ」のシリーズを楽しむことができます.直感的に操作することが可能なインターフェイスと,親しみのわく手描きのキャラクター「リズムシ」によって人気を博しており,現在では,キャラクター・グッズなど,多角的に展開されています.会場だけのオリジナル・アプリも制作される予定です.


「無響室」では,音の反響や反射が吸収されてしまう素材で作られた,特殊な空間を体験することができます.会期後半は,10月23日(火)より,三原聡一郎+斉田一樹《moids 2.2.1――創発する音響構造》を展示します.音の入力に反応するデヴァイスを空間に多数配置し,それらが連鎖的に反応することで,有機的な音響環境を作り出します.今回の展示では,無響室を使用することで,よりはっきりとした音像の定位を聴き取ることができるようになります.

os2012_11
成瀬つばさ《リズムシ》(参考図版)

os2012_12
斉田一樹+三原聡一郎+むぎばやしひろこ
《moids 2.1.3.——創発する音響構造》2009/11年(参考図版) 撮影:三原聡一郎

また,ICCコレクションとして,97年の開館以来展示されてきた,グレゴリー・バーサミアンの立体アニメーション作品《ジャグラー》や,オープン・スペース開設当初から展示され,来館者に親しまれている,映像の中で時間が操作される,岩井俊雄の《マシュマロスコープ》も継続展示されます.

os2012_13
グレゴリー・バーサミアン《ジャグラー》1997年
撮影:大高隆

os2012_14
岩井俊雄《マシュマロスコープ》2002年 撮影:木奥恵三


テーマ展示「アート&コミュニケーション・テクノロジーの50年」は,昨年の展示の拡張版を展示します.マーシャル・マクルーハンが予見した,電子メディアによる同時多発的な情報伝達が可能となった現在.さまざまなメディアやコミュニケーション・テクノロジーの変遷は,わたしたちの意識に大きな影響をおよぼしてきました. このテーマ展示では,テキストや図版,ICCが収蔵するヴィデオ・アート作品とインタヴューなどの映像などによって構成し,60年代から現在までの,メディア・テクノロジーと社会,さらにそのインターフェイスとして存在してきたメディア・アートの関わりをたどります.


新進アーティスト紹介コーナー「エマージェンシーズ!」は,今年度は会期後半の10月より展示を予定しています.


ICCの映像アーカイヴ「HIVE」では,ICCの所蔵するヴィデオ・アート作品,アーティスト,科学者,批評家などのインタヴュー映像,1997年の開館以後開催されてきたICCの数多くの活動の映像記録をデジタル化し,コンピュータ端末から視聴することができます.


会期中には,アーティストや有識者を招いたトーク,レクチャー,シンポジウム,ワークショップや学芸スタッフによる作品解説ツアーを開催するなど,さまざまなプログラムを用意しています.


○ギャラリーツアー
ICC学芸スタッフが展示作品について解説します.会期中の毎月第三日曜日に開催を予定しています.


*関連イヴェントについて,詳しくはホームページなどで最新の情報をお知らせいたします.


オープン・スペース 2012
会期:2012年5月26日(土)―2013年3月3日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーBほか
開館時間:午前11時ー午後6時
休館日:月曜日(月曜が祝日の場合翌日),年末年始(12/28ー1/4),保守点検日(8/5,2/10)
入場無料
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
/Exhibition/2012/Openspace2012/index_j.html


[H.M.]