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《そよぎ またはエコー》(部分を「坂本龍一トリビュート展」のために再構成) [2017/23] “Breath or Echo” (reconstructed for the exhibition “Tribute to RYUICHI SAKAMOTO”)

毛利悠子

《そよぎ またはエコー》<small>(部分を「坂本龍一トリビュート展」のために再構成)</small>

作品解説

《そよぎ またはエコー》は,毛利悠子が「札幌国際芸術祭 2017」の準備のために行なった,石狩川河口から上流へ,音威子府おといねっぷまで北上する旅からインスピレーションを得て,同芸術祭で制作・発表された作品です.毛利は,そこで出会った,「朽ちながらもいまだ生々しく存在するさまざまなモノたち」に触発されて,時間や環境によって摩耗し,風化していく,ピアノや街路灯などさまざまなモノの様子を音の現象として変奏する,スケールの大きなインスタレーションを制作しました.

会場となった札幌市立大学内の空中歩廊「スカイウェイ」(設計:清家清)の100メートルを超える細長く伸びた空間を活かし,鑑賞者は会場の端から端までを移動しながら,そこに配置されたさまざまなモノから発されるフィードバック音や電磁波,鈴の音の響き,街路灯の明滅,改造されたピアノによる自動演奏や,砂澤ビッキの詩の朗読の音声などを体験しました.鑑賞者の移動に伴って,空間内の音は,空間の中での音の伝達速度から生じる「音速のゆらぎ」によって変化していく様子を感じとることができました.

タイトルは,ヴァルター・ベンヤミンの「歴史の概念について(歴史哲学テーゼ)」に由来し,毛利は,私たちに,現在に残る過去からのメッセージを感じ,聴き取るために,耳を傾けることを促します.坂本龍一は本作のために楽曲を提供しました.本展では,その曲が自動演奏ピアノによって演奏されていた部分を中心に,《I/O》(2011–13),《Brush》(2017)といった毛利の作品とともに再構成したヴァージョンが展示されています.

《四つの風》へ向けた砂澤ビッキの詩

風よ
お前は四頭四脚の獣
お前は狂暴だけに
人間達はお前の中間のひとときを愛する
それを四季という
願はくば俺に最も
激しい風を全身にふきつけてくれ
風よお前は
四頭四脚なのだから
四脚の素敵な
ズボンを贈りたいと
思っている
そうして一度抱いてくれぬか

「札幌国際芸術祭 2017」の会期中に本作品展示会場で,坂本龍一とカミーユ・ノーメントによるパフォーマンスが行なわれ,フェリペ・マルティネスによって《After The Echo》として映像に記録されました.こちらはシアターでご覧いただくことができます.

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