SRLカタルシス/註

■訳註

★1
GX Larsen .ノイズ・ミュージシャン.秋田昌美とのセッションのため,1999 年11 月に来日した.
★2
『RE/SEARCH 誌』#11 は,アートのジャンルに収まり切らない現代のトリックスターたちにインタヴューを試みている.巻頭のマーク・ポーリンに始まり,ほかにティモシー・リアリー,アビー・ホフマン,カレン・フィンリー,ジョン・ウォータース,ジェロ・ビアフラ,ボイド・ライスらが登場している.また,ヴィデオもリリースされている.Pranks (戯れ者たち)の文化的語源は,おそらく,サイケデリック革命のときのケン・キージーとメリー・プランクスターズから引用してきているのだろう.
★3
Karen Finley, 1956- .80 年代以降,パフォーマンス,絵画,彫刻,インスタレーションと多彩に活躍しているアメリカのアーティスト.ジェンダーなどの社会問題を扱った作品が多く,ヌードになって,溶かしたチョコレートを身体に塗りたくるパフォーマンスは論議を呼んだ.いまでも全米のアート・アクティヴィストたちはカレン・フィンリー検閲事件に端を発して,アートと検閲,セクシュアリティとタブーに関するネットワークのリンクを張り巡らしている.作家としても人気があり,『Shock Treatment 』『Enough Is Enough 』『Livint It Up: Humorous Adventures in Hyperdomesticity 』などの著書がある.また,朗読やパフォーマンスを録音したCD が米Rykodisc から複数,リリースされている.彼女については,『RE/SEARCH 』誌#13 「Angry Women 」や前出「PRANKS!」でよく知ることができる.1988 年,歌手シニード・オコナーと12 インチEP で共演(《Jumpin the River 》)している.
★4
NEA (National Endowment for the Arts /全米芸術基金)は1965年,連邦議会によって作られたアーティスト助成基金.89 年,メイプルソープの展覧会に助成金を出したことで非難を浴び,また,90 年にはカレン・フィンリーら4 人(ティム・ミラー,ジョン・フリック,ホリー・ヒューズ)への助成金を引き上げた.ちなみにフィンリー以外の3 人のアーティストは,ゲイであることを直接的政治的に訴えた内容によって.共和党が上院与党となった94 年以降はNEA の予算そのものが著しくカットされ,98 年には「NEA は“見苦しい(indecent )”と判断したアート作品に助成金を出す義務はない」との最高裁判決が下された.
★5
1999 年9 月,ブルックリン美術館は「センセーション:サーチ・コレクションのイギリス若手アーティスト」と題したグループ・ショーを開催したが,黒人のマリア像を象の糞やポルノ写真で飾ったクリス・オリフィの絵画《聖母マリア》に憤ったカトリック系のジュリアーニ・ニューヨーク市長は,この作品を撤収しなければ同美術館への市予算を大幅にカットすると抗議.上院も同美術館へのNEA 助成中止の決議案を可決した.しかし,このショー自体はイギリスですでに行なわれたものの巡回展であり,ダミアン・ハースト,レチェル・ホワイトリード,ディノス&ジェイク・チャップマンら,現代美術界ではすでにオーソライズされた作家と作品がほとんどだった.また,サーチ・コレクションも有名なコレクションである.美術館のレーマン館長は市長の要求を突っぱね,逆に市を訴えている.
★6
Burning Man .1985 年,サンフランシスコのベイカーズ・ビーチで始まった,年に一度の火祭り.有志が集まって木で巨大な人形を作り,最後に火をつけて炎上のスペクタクルを眺める,という「儀式」は徐々に規模を増し,最近は2万人近くの参加者を得てる.1990 年,警察の退去命令を受けて以降は,ネヴァダ州ブラックロック砂漠で催されている.サンフランシスコ出自のフェスティヴァルだけあって,自然崇拝や先住民(Native American )などを念頭においたエコロジカルで全地球的でアニミズム的な要素と,パンクやレイヴ・パーティなどの要素が絡み合う.
★7
レーモン・ルーセル『ロクス・ソルス』(岡谷公二訳,ペヨトル工房,1988 ),『アフリカの印象』(岡谷公二訳,白水社,1980/90 ).



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