ICC
アノニマス・ライフ 名を明かさない生命
《The White Casket》 1994年
《案内嬢の部屋1F》 1997年
《案内嬢の部屋3F》 1998年
やなぎみわ
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撮影:木奥恵三
《The White Casket》 1994年 国立国際美術館蔵
《案内嬢の部屋1F》 1997年 京都国立近代美術館蔵
《案内嬢の部屋3F》 1998年  髙橋コレクション
「エレベーター・ガール」シリーズと呼ばれる一連の作品は,1994年から99年にかけて制作されました.やなぎの作品では,個性が抑えられ,均質化された外観を持ち,訓練された立ち居振る舞いを身につけた「エレベーター・ガール」やデパートの「案内嬢」を単純な社会風刺として描いているだけではありません.そのような案内嬢の姿が映し出されると同時に,彼女たちは別の表情を見せてもいます.近代的な建物の閉塞した空間の中で,彼女たちはもの憂げな表情でたたずみ,くつろいだ姿勢をとっているのです.自分たちが投げ込まれた世界への充足感とも戸惑いともつかない,両義的な心理のゆらぎを彼女たちから窺い知ることができるかもしれません.
やなぎみわ
1967年神戸市生まれ,京都市在住.
1990年代の初めから制作された「エレベーター・ガール」のシリーズで注目を浴びる.台北ビエンナーレ(1998年),横浜トリエンナーレ(2001年)など,数々の国際展に参加.2009年にはヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の日本パヴィリオンに出品.近年,演劇プロジェクトを展開し,京都国立近代美術館,神奈川芸術劇場,世田谷美術館,鳥の劇場などで公演を行なった.現在,京阪電車なにわ橋駅「アートエリアB1」で展開される鉄道芸術祭vol.2「駅の劇場」の芸術監督を務める.
http://www.yanagimiwa.net/