アート&テクノロジーゾーンは,メディア・アートを代表する作品を展示し,体験することができ,また「インタラクティヴ」「映像」「インターネット」といった複数のキーワードに沿った解説によって,近年の情報社会における芸術表現の推移を概観できるエリアです.
さらに,企業や公的機関や大学などの研究開発展示から,若手クリエイターの紹介および発表の場の提供,また,1990年以降のメディア・アートおよび社会・文化的動向をまとめた年表などにより,来館者の多角的な理解を促すことを目的としています.ほかにも,音の反響が吸収される部屋,無響室やラウンジなどを併設しています.

 展示作品
 
《マシュマロスコープ》 
岩井俊雄 
白いマシュマロのような形をしたオブジェについたモニターを覗くと,まわりの風景が,時間が行きつ戻りつするように変化したり,動いている人やものの形がゆがんだりして映っています.これはヴィデオ・カメラで撮影されコンピュータに貯えられた映像とその時間軸を,リアルタイムに操作,変形したものです. 
 
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《streetscape》 
中居伊織 
白地図の道の上を付属のペンでなぞると,ヘッドフォンから街の音が聴こえてきます.その音は,その地図に示された場所で実際に聴こえていた音です.通りに沿ってペンを動かしていくと,それにつれて聴こえてくる音も変化し,まるで自分がその通りを歩いているかのように感じることができます.また,ふたつある別々の白地図をなぞってみると,それぞれの場所の持つ音の違いを聴くことができます. 
 
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《KAGE》 
minim++ 
円形に光のあたった床に,とげのような立体がいくつも並んでいます.この円錐状のオブジェには,天井からの光によって影が落ちているように見えます.しかし,円錐にふれるとその影は動きだし,日時計のように回転したり,伸び縮みしたりします.別な円錐にふれれば,全ての影が動き出したり,カラフルに色づいたりと,いろいろな反応をします. 
 
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《モジュローブ》 
江渡浩一郎 
《モジュローブ》は,モジュールと呼ばれる部品を組み合わせて,簡単に仮想生物としての「動く3Dモデル」を作ることができる物理シミュレーション・システムです.ブロックのように自由に形をつくり,そこに動くモジュールを追加することで,モデルに動きを指示することができます.また,この仮想空間においては,現実の物理法則がシミュレートされているため,生物のようなリアルな動きを再現することができます. 
 
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《PLX》 
クワクボリョウタ 
これは二人が対面して競い合う対戦型ゲームのような作品です.しかし,中央に直立したスクリーンを介しているため,相手のスクリーンを見ることはできません.お互いが自分の側のスクリーンだけを見てゲームを行ないます.共通のゲームに興じる二人のプレーヤーの間には,互いに共通のコミュニケーションが成立しているように見えます.  
 
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《シークレット・ライヴズ・オブ・ナンバーズ》 
                  ゴラン・レヴィン 
この作品では,1から100000までの数字の使用頻度やパターンがウェブ上のデータから収集され,その統計値が動的なインターフェイスとして提示されています.数字の使用パターンが,私たちの社会や文化,そして歴史をいかに反映しているかを,マウスをドラッグすることで知ることができます. 
 
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《rgb f__cker》
                   
                  エキソニモ 
《rgb f__cker》は,誰もが「クリエイター」として気軽に点滅する色面によるヴィジュアルを創造することができるツールであり,創造したものを広く公開して楽しむためのプラットフォームです.四角形,色,点滅(フリッカー)速度の設定という最小限のルールをベースに,それをいかに使うかはユーザーの想像力に委ねられています. 
 
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《リコンフィギュラブル・ハウス:ハッキング・ローテック・アーキテクチャー》 
                  ウスマン・ハック+アーダーム・ショムライ=フィシェル 
ペンギン型の無線機,樹脂で固められた猫の人形など,改造された電子玩具がぎっしりと吊り下がり,光や音を放つ「家」が建っています.家の手前にはタッチ・スクリーンの端末が設置されており,訪れた人はそれを操作することで,これら玩具の電子的なつながりをソフトウェア上で「リコンフィギュア(変更)」することができます. 
 
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《ジャグラー》 
             グレゴリー・バーサミアン 
  空中に投げられた物体や曲芸師(ジャグラー)は円筒形のフレームに接続され回転していますが,点滅するストロボ・ライトが照らすときしか眼に見えません.そうすると,アニメーションと同様に,動きのない物体に時間が与えられ,実在しない「動いている」光景に見えるのです. 
 
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《DriftNet》 
             平川紀道 
  目の前のスクリーンに広がるCGの海に寄せる巨大な波.体を動かしてこのデータから生成された情報の波を掻き分けると,その波間からリンクが浮かび上がり,波の諸条件によって次のサイトが特定され,再びデータが波となって押し寄せてきます. 
 
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《オプティカル・トラジェクトリー 2》 
             武藤努 
  底部に重りを付けて,倒しても元の位置にもどる「起き上がり小法師」のような構造を持った発光する球体と壁や床に投影されるその光の軌跡によって,「色彩の動き」に触れるという感覚を体験することができる作品です. 
 
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無響室 
無響室は,部屋全体が音の反響を吸収してしまう素材で囲まれています. 
 わたしたちは通常,周囲の空間の広さなどを音の反射によって把握しています.しかし,この音の反響や反射がなく,外部の音からも遮断された特殊な空間では,自分の位置を空間の中に定めることができない状態になるため,音響的には空間の中に宙吊りになっているのと同じことになります. 
 
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 新進アーティスト紹介コーナー  「エマージェンシーズ! 」 
「エマージェンシーズ!」は,これから期待されるアーティストやクリエイターの最新の作品やプロジェクトをいち早く展示するコーナーです.年間3,4回のペースで,アートや科学の新しい可能性を開いていく実験的な表現を幅広く紹介していきます.メディア・アートにおいて現在生まれつつあるものをリアルタイムで体験いただくとともに,それらを生み出すアーティストたちの発想の源泉に触れていただく場となることを期待しています. 
 
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インタラクティヴ年表 
これは1991年以降のメディア・アートにおける重要な作品や展覧会を,社会や技術の動向と一緒に紹介するインタラクティヴな年表です. 
 
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