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OpenSky 2.0 スタッフ日記では、 展覧会の準備の様子やイヴェン トのレポートをしていきます。 (例)

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2007年02月の日記

12月15日にスタートした「八谷和彦─OpenSky 2.0」展ですが、はやくも会期半ばにさしかかりました。
会場入口にお集まりくださった25名あまりのお客様をお迎えして、当館学芸員によるギャラリーツアーを行ないました。展覧会全体の見 所はもちろん、個々の展示作品についての解説や展示空間の構成などに関する話を交えつつ、会場をご案内します。所要時間は約45分。 ツアー終了後には、オープンスカイ・プロジェクトに関するさまざまな質問も受け付けております。
次回のギャラリーツアーは2月18日(日)14時より行ないます。お気軽にご参加ください。
展示会場入り口に集合
ギャラリーツアーの様子
中ハシ克シゲさんは彫刻家として活動を続け、近年では二つのアート・プロジェクトを手がけている作家です。
プラモデルを接写し、その後膨大なサービス版プリント写真を繋いで原寸大の零戦を再現する「ZERO Project」、戦争にまつわる歴史的 場所の歴史的一日を同様の技法でレリーフとして表現する「On the Day Project」は、それぞれ世界各地で断続的に発表されています。 冒頭では八谷さんたっての希望で対談が実現したというお話もあり、夢の対談となりました。

八谷さんが両プロジェクトの共通点として注目したのは、「1/1(サイズ)の飛行機を作品化することによって戦争を考えるところ」で すが、対談が進むにつれ、次第に両者の考え方の違いが見えてきました。
オープンスカイ・プロジェクトは、「個人的に飛行装置を作ってみるプロジェクト」として開始されました。そもそも、現在日本国内で 設計・製造されている民間用の航空機はないのだそうです。その背景には敗戦後の連合国による航空禁止令の影響などが考えられるとい います。航空機開発と軍事への応用が軌を一にしてきたことも、目を背けることのできない事実です。しかし、八谷さんは実機制作を本 格的に進めるうちに、すでに戦前にジェットエンジンを付きの無尾翼機の構想があったことを知り、当時の航空技術の高さに改めて驚か されたそうです。プロジェクトには、「個人的に飛行装置を作ってみる」ことでアーティストの立場からエンジニアリングの発想を未来 につなげたいという八谷さんの視点が含まれています。
一方、「ZERO Project」では、機体の共同制作を通じて戦争にまつわる記憶を掘り起こしていくという側面があるように思います。中ハ シさん自身、幼い頃のプラモデル遊びを通じて間接的に戦争を知った世代でもありますが、このプロジェクトでは、実機ではなくプラモ デルを接写した写真を素材とし、多くの参加者との共同作業で写真をつなぎ合わせて原寸大の零戦をつくります。完成した機体は最後に 燃やされますが、記憶そのものは消えずに残り参加者の対話によって連鎖していくという見方もできるのかもしれません。
飛行機という共通項から、それぞれに異なる立場で制作をする二人のアーティストのお話を聞く、貴重な対談となりました。
対談の様子(左から中ハシさん、八谷さん)
中ハシさんによる「ZERO Project」の説明
展覧会場に入ると、まず聴こえてくる軽快な音楽に耳を奪われた方も多いのではないでしょうか。これは、オープンスカイ・プロジェクトの音楽のすべてを手がけている宮崎貴士さんの作曲によるものです。八谷さんは、宮崎さんの作るメロディがとても好きとのことで、プロジェクトの開始から宮崎さんが音楽を作曲されています。このプロジェクトで聴かれる音楽はインストゥルメンタル(音楽のみで歌がない)の楽曲ですが、宮崎さんは、本来はシンガーソングライターとして活動し、とても素晴らしい2枚のCD(『少太陽』と『アステア』、どちらもOut One Discより発売中)を発表されています。
ちなみに、僕は宮崎さんの音楽を聴いて、ポール・マッカートニーや、ポール・ウイリアムズや、ランディ・ニューマンや、ハリー・ニルソンや、トッド・ラングレンや、ビフ・ローズといったミュージシャンの名前を連想することができます。が、宮崎さんの音楽はそれらともちがった、自身の世界を持っており、その音楽はジム・オルークからも賛辞を送られています。

今回は、宮崎さんと八谷さんの対談を第一部として、おふたりが出会ったなれそめや、その当時90年代初頭のことなど、またおふたりの『風の谷のナウシカ』体験について熱く語り合っていただきました。
ライヴは、現在パーマネントなバンド活動を構想中である、宮崎さんのバンドによる演奏で、パーソネルは、宮崎貴士(ヴォーカル&キーボード)、近藤研二(ギター)、田中亜矢(ヴォーカル)、佐々木絵実(アコーディオン)、高木コータロー(ベース)、廣瀬方人(パーカッション)の6人。アコースティックなたたずまいのアンサンブルで、宮崎さんのCDから選曲されたラインナップに加えて、新バンドのレパートリーになる、田中亜矢さんがメイン・ヴォーカルをとるナンバーなどが披露されました。
対談の様子(左から八谷さん、宮崎さん)
宮崎さん
ライヴの様子(左から田中さん、廣瀬さん、佐々木さん、高木さん、近藤さん、宮崎さん)
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